これであなたもパワーアップ!日々のバトルを生き抜く”セルフアドボカシー”講座
苦労や悩み多き子どもたちにセルフアドボカシーのスキル(自分を活かす交渉術)と行動力を授けるシリーズ。
.。oO(板書を写さなきゃ…。あの漢字は何て読むんだっけ…えっと…。)
みんなー書き終わったかな?
もうとっくに書き終わってるに決まってるだろ!終わってないやつなんているの?
.。oO(え、僕まだ終わってない…。急がなくちゃ!あれ…どこまで書いたっけ?)
じゃあ板書を消しますね。
.。oO(ああ…消されちゃった。また間に合わなかった…。もう少し時間があれば書き終わりそうなのに…。)
しずか君。黒板を見つめて、どうしたの?
飯島先生…実は、僕一生懸命板書を写していたけど、書き終わる前に先生に消されちゃったんだ…
なるほどねえ。しずか君は読み書きが苦手な傾向(ディスレクシア)があるから、他の人より黒板に書かれた文字をノートに写すのに時間がかかっちゃうのかもしれないね。
そうなんだ…じゃあ僕はもうずっとノートがとれないんだ…。これじゃあもう勉強が出来なくて、お先真っ暗だ…。
あらあら、そんなに落ち込まなくて大丈夫よ。板書をノートに書き写せなくても、他の方法で対処できるのよ!
まず、代替機能(だいたいきのう)をもつものをつかってみようか。
だいた…?なんですか、それ?
しずか君は、板書を写すことで何ができるようになりたいのかな?
えっと…授業で説明された内容を残しておいて、あとで見返したときに理解するためかな…。
グレイト!そうね、だから板書を写すということ自体は手段なのよ。だからノートに書き写さなくても、別の方法で授業の内容を残しておいて覚えたり理解できればOKだよね。
なるほど…!でも、どんな方法がありますか?
そうねえ、まずタイピングかな。しずか君はパソコンが得意だもんね。先生によっては、ゲームとか、勉強に関係のない機能のはいっているパソコンをつかうのはダメよダメダメって言ってくる場合があるから、その時は「ポメラ」みたいにメモ機能に特化したデバイスをつかえるといいかな。
たしかに、それなら僕にもできるかも!でも、歴史の授業とか漢字が多いとそれでも間に合わないかもしれない…
そんなときにはパシャリと写真に撮っちゃいましょうか。ipadみたいなタブレットのカメラ機能をつかえば、そこに書きこみもできるからおすすめよ。
え…でも、写真を撮るだけなんて、ズルいって言われませんか?
しずか君は、メガネをかけている子をズルいって思う?道具をつかってよく見えるようにするなんて、ひきょうだ!って思う?
思わないですよ、だって、目が見えないと困るじゃないですか。
うん、そうだね。だから、しずか君が写真を撮ることも同じだな、って先生は思うよ。確かにしずか君のがいっていることもそのとおりで、現実問題、ズルいとか思う人もいるでしょうね。でも、理屈を考えていったらそんなこと全然ないでしょ。苦手なことを便利な道具をつかっておぎなうっていうのは、あたまのいいやり方なのよ。しずか君には学ぶ権利があって、そのために必要な工夫をすることを反対することは誰にもできないわ。だから、まずはしずか君自身がその感覚を持っておこうね。
わかりました…!先生にはどうやって説明したらいいですかね?
「僕にはディスレクシアの傾向があって、板書を写すのは難しいからこういうものをつかいたいんです」っていうのを、しずか君や保護者の方から説明して理解してもらえればそれが一番だけど…難しかったら、お医者さんとか、特別支援コーディネーターの先生とか、専門家の人からも言ってもらうのがいいかな。まずはお家の人に相談してみようか。
はい、そうします!!
どうしてもパソコンやカメラをつかうのが難しかった場合は、授業が終わってからお友達にノートを見せてもらって写したりノート自体の写真を撮ったりする方法もあるね。とにかく勉強を理解するために自分にあった方法を模索する、っていうのが大切よ。
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ディスレクシア
文字の見え方が他の人と違ったり、文字を読んだり、書いたりすることに苦手さがある人のこと。おしゃべりが得意だったりするので「なんで読めないの?書けないの??」と思われることがある。
ポメラ
キャッチフレーズは「最強のテキスト入力専用マシーン」。超軽い。自動保存。スッととりだしてパッとつかうことができる。
▼LD(学習障害)の子が板書を写すのが苦手な原因とは?ー視覚機能、ワーキングメモリ、協調運動の課題
発達障害*のある子どもたちの中には板書を写すが苦手な子が多いですが、その原因は様々です。文字が歪んで見えたりぼやけて見えるといったように、視覚機能に課題がある子。黒板の文字を見る⇒一時的に記憶する⇒書き写す、という過程の中で、ワーキングメモリの弱さから一時的に記憶できる分量が少なく、書き写しに時間がかかる子。発達性協調運動障害があり、書くこと自体の負荷が強い子、などなど…。同じ”板書を写すが苦手”という困り感でも、原因によって対応策は異なります。その子がなぜ板書を写すが苦手なのか、必ず理由を探ってからサポート方法を考えましょう。
▼板書を写すことにこだわらない 学習の”ツール”であることを理解する
本文中にもある通り、「ノートに書き写さなくても、別の方法で授業の内容を残しておいて覚えたり理解できればOK」であり、板書を写すことはそのためのひとつの手段にすぎません。LD(学習障害)のある子の場合、黒板の内容を書き写すことに一生懸命になってしまうとそれだけでキャパオーバーになってしまい、学習本来の目的である考えたり覚えたりする活動を阻害する恐れがあります。どうすればその子が最も学びやすいのかを考えた上で、柔軟に対応できるとよいでしょう。
凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹
このページでは、発達凸凹のある子どもたちが自分の特性を理解・受容した上で、どのように社会に対して権利主張をしたり合理的配慮を求めればよいかをご紹介しています。子どもたちが生活の中で困り感を感じることがあった際に、参考にしてください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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