大橋 例えばバイオリンの授業とかって、通信制の学校では聞かないですが、先生方が指導されているんですか?
雨宮先生 そういうのはね外部のプロの先生に頼んでいますね。プロの方から学んだ方が面白いですからね。ヨガの授業なんかはうちの先生たちも受けてますね 笑
大橋 なるほど。プロの指導を受けながらたくさんの体験ができるわけですね
雨宮先生 そうなんです。子どもたちには、「知っているけどやったことのないこと」、というのもチャレンジしてほしくて。まずは授業ということで仕方なしに始める子もいますけどね、続けていると、プロに教わりながらだと、いろんな活動の楽しさに気がつく子が増えていって、卒業した後も続けたがる子とかもいたりしますよ。デジカメの授業なんかもそうで、卒業後にカメラの専門学校に行ったりとか。
難しい、例えば難しいバイオリンとかは、多めに指導員がつくようにしています。うちの学校の先生はみんなバイオリンを弾けるので。難しいかな、苦手かなと委縮しているような子には先生が隣について安心してとりくめるような工夫をしています。
ここに通う子たちは、引きこもっていたり、学校に行かない自分が本当の自分ではない、もっと自分はできるんだと心の中で叫んでいる子が多い。
他の子が経験できないようなことを体験していく中で、彼らの自尊心が育まれるんです。自分はすごいことをやっているんだ、という特別な経験になる。そういう機会を、たくさんたくさん積んでほしいと思っています。
大橋 その他、何か特色はありますか?
雨宮先生 今、高齢化社会でしょう?で、今の子どもたちが社会にでたころには、職場でも家でも町でも高齢者がいるような状態になる。自分たちとは違う精神や身体をもっている人たちと共生するわけだから、介護職員初任者研修を全員にとらせるようにしています。連携している企業があるので、うちの教室で実習を受けて、6週間で資格が取れるようになっています。試験もあるんですけどね、なんとか全員合格していますよ。
大橋 資格が進路選択に役立ったりもするのでしょうか?
雨宮先生 実際に、これを職業にしなくていいとは言っているんですが、卒業後こういった分野で働く子も多いですね。別の進路に進んでも、やっぱり介護に行くよ、と言ったり。うちの方でも関係のある施設もあるので、希望のある子にはアルバイトの経験とかができるように繋げたりできるようにしています。
介護というのは、生徒たちが一緒に協力しあってやることが多いんですよね。ベッドの移乗とかね。そこでもコミュニケーションの練習にも役立っています。
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