発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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【2020年度版】TEENS進路実績レポート(中3・高3)

2021年4月23日

TEENSの岩橋です。あっという間に新年度が始まりました。

TEENSでは毎春に進路納得度調査を実施しています。

今回は2020年度進路決定のお子さんと保護者の方向けのアンケートをもとに、納得度の高い進路決定に至るまでのプロセスを考えていきたいと思います。

調査実施日:2021年3月5日~2021年4月12日
調査回答:TEENSご利用の卒業学年の高校生38名、中学3年生45名とそのご家庭

多様な選択肢が出てくる中学卒業後 「はたらく」から考える高校卒業後

まず中学卒業後に関してです。

全日制の通常校を選ぶ方が4割程度、その他さまざまな選択肢があがってきました。

地域にもよりますが、中学卒業後はいわゆる王道の選択肢だけではない、多様な学び方・通い方の学校から自分のペースにあった進路選択をすることができるようになります。

続いて高卒後の進路です。

今年は半数が進学、残りは就労準備と就職が同程度という結果となりました。

高校(高等部含む)卒業後は、進学や就職の他に「就労準備」という選択もあります。(就労準備について詳しくはこちら。)

発達障害*だから選択肢はこの道一本!ということはなく、どういう時間を過ごしたいか、何を大事にしたいかで選んでいくことができます。先輩たちも多様な進路をとっており、どの道にも先達がいます。

進路選択について 誰に相談した?

進路についてはご本人やご家庭だけで情報収集や判断をしていくことはなかなか難しいです。進路の相談先についてうかがったところ、どこかに相談された方がほとんどでした。

成績や実習の評価といった客観的なデータで進路を選ぶ場合は学校が頼りになり、特性に合っているかで考える場合はお子様の見立てができる専門機関とのつながりが役に立ったようです。

メインの相談先を決め、セカンドオピニオン的に他の相談先も使いながらより良い選択ができるとよいでしょう。

お子さんの”不安”へのサポートは不可欠

次に、進路選択にあたり「TEENSの役に立ったサポート」について具体的にお聞きしてみました。

まずTEENS生の回答。

一番多かったのは「不安が和らいだ」という精神面での支えでした。

次に保護者の方の回答です。

こちらでも「お子様への心理的不安のサポート」の部分に一番価値を感じていただいたようです。

発達障害のお子さんは見通しを立てることが苦手だったり、初めての環境への不安感が強かったりされる方が多くいらっしゃいます。

ただ情報を集めるだけでなく、進路先の情報を整理し、お子さん自身の「やりたいこと」「できること」「すべきこと」とどのくらいマッチするか、理想と現実に差があるか、どんな生活になりそうかなど、すり合わせを行うことで、安心して次のステップに進めるのだと考えます。

納得度の高い進路選択に向けて、本人主体の場をつくる

最後に、満足のいく自己決定ができていたのか?TEENS生と保護者の方の進路希望度と納得度をご紹介します。

まずTEENS生の回答結果です。

TEENS生の77%はご本人が希望する進路を選んでおり、決定した進路への納得度も高いことが分かります。必ずしも皆が第一志望に進んだわけではありませんが、方向転換をされた方もご本人が納得して進路を決められたことが読み取れます。理想と現実にギャップがあり、そこを話しながら埋めていった方もいます。

続いて保護者様について。

保護者の方については元々「親としてはこういう進路を…」と考えていた方もいらっしゃいましたが、最終的な選択理由をうかがうと「本人が希望した」「本人に合っていると思った」などご本人主体で決めているご家庭が多くありました。

TEENS生の納得度の高さについて考えた時、お子様や保護者の方の「自己理解(本人理解)」が養われていることがその理由かな?とみなさんと接している中では日々感じるところでした。

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実際に進路選択の理由は下記のような回答が多く見られました。

「一般的な高校の雰囲気とは違い、少人数でアットホームな雰囲気で安心して通える環境を選びました」

「本当は就職したかったが、まだまだ仕事スキルが足りないということで焦らず就労準備の道を選ぶことにしました。」

「自分の好きな勉強ができるところを探しました」

「自分の得意は何かを考えて、業務内容から就労先を選びました」

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自分の好きなこと・苦手なこと・安心できる環境について知っているからこそ、いざ進路を決める際に納得度の高い進路を選ぶことが出来るのだと思います。

余談ですが、進路決定の際は「入ってみたらちょっと難しかった」パターンのすり合わせも事前に行うと良いかと思います。そうすることで、「うまくいかなかったらBパターンがあるから大丈夫!」と、お子さんも親御さんも心にゆとりをもって過ごすことができます。

参考:TEENSニュースレター2021年4月号「高卒後の進路 親としての3つの心構え

まとめ

中学卒業以降、多様な選択肢が出てきます。

何が良いとか何はダメとかではなく、ご本人が健やかに過ごせる場所であることが重要です。折々でご本人の特性と居場所のマッチングを相談しながら、見通しや新生活のイメージについてサポートを受け、「自己理解」のもと「自己決定」できることが納得度の高い進路選択に繋がると考えられます。

TEENSでは、毎月 思春期 発達障害 × はたらく力をテーマに、無料のウェブセミナーを開催しています。当事者、保護者、支援関係者どなたでもご参加いただけます。ロールモデルを知る機会にもなるかと思いますので、ご参加お待ちしております。

その他

2019年度「放デイを利用した子どもたちの卒業後の実態」調査

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ご利用までの流れ

 

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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