TEENS川崎の飯島です。
4月になって一週間たちました。TEENSでは年度の切り替えで新たに5名のスタッフが入りました!インターン生からの入社組が2名、就労移行支援からベテランスタッフが1名、新入社員として言語聴覚士が1名、特別支援学校職員が1名加わります。
世間は春うららといった感じですが、発達障害*のお子さんにとっては苦手なことの多い季節です。入学、クラス替え、担任替えなどなど…変化を嫌がるタイプのお子さんたちにとっては、苦行そのもののような時期と言えるでしょう。
川崎の新しいスタッフです! |
「中学のテストってなんか怖いって聞いたんだけど、本当?」「色んな先生が勉強を教えてくれるらしいんだけど、担任の先生はいないの?」と、3月下旬に今年小学校を卒業した男の子が言いました。一体どこでそんな曖昧な情報を仕入れてきたのか分かりませんが、確かに小学生から見たら中学校ってなんだか得体のしれない雰囲気が満載なのでしょう。先の見通しが立たないことが苦手な発達障害のあるお子さんにとってはなおのことです。
そんなわけで最近は中学に進級するお子さんに「定期テストとは」「教科担任制とは」についてよくお話します。入学後学校生活を送っていく中でなんとなく理解していかれればよいような情報も、自然とキャッチしていくことは彼らにとってはなかなか難しいです。「中学校怖くないよ、小学校よりルールがしっかりしているから案外過ごしやすい面もあるよ」ということをきちんとお伝えしていってあげられると、不安も少しですが和らぎます。
モニターを使って解説。勉強以外のことも教えます。 |
こういった話をする際に「新しいことが不安で不安で仕方がない」と困り感が見えやすいタイプのお子さんを取り上げることが多いですが、入学後、勉強面でいえば本当に困るのは実は「不安感が全くない楽天家タイプのお子さん」です。正確には、当人よりも周りの大人たちが困っている、ということになりますが…。
不安感0タイプのお子さんは、小学校の間は生活面は保護者の方がフォローしながら比較的楽しい学校生活が送れることが多いですが、中学校にあがると状況が変わってきます。保護者同士の横のつながりも取りずらくなることから、定期テストの範囲や時期など、重要な情報が入りにくくなります。当人は当人でまあ何とかなるでしょ、とどこ吹く風で、テストの点数も進路もほとんど気にせず、そのまま受験へ…というパターンは少なくありません。
様々な困難を困難と思わず、あっけらかん、とできる度胸は才能です。ただし、将来に対する想像力の弱さについては支援をしていく必要があります。
そういったタイプのお子さんには、「勉強すること」自体ではなく、その次に目標を置いてあげるようにしてください。
目標の内容は、行きたい学校、なりたい職業を見据える、成績が上がったらお小遣いアップなど、などなんでも構いません。成績の上がり下がり自体に興味のないタイプのお子さんには、それに付随したメリットを設定してあげられるとよいでしょう。
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先日の卒業式で、4月から就職が決まっているお子さんから、「辛いことがあったりすごく楽しいことがあったり、特に何にもない日が続いたりしたら、TEENSに遊びにきてもいいですか」と言ってくれるお子さんがいました。(「いつでもおいで」と言うと本当に週3くらいで来かねないので、どういった時に来たらよくて来る前にどうするべきかまで話しましたが…)
これから進学していくお子さんたちも、TEENSを卒業してからもそんな風に思ってもらえるように支援をしていかれたらと思います。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます