TEENS御茶ノ水の大橋です。
発達障害*のあるお子さんの進学先について考えるシリーズ、第2回は「通信制高校・サポート校」という選択についてです。シリーズ第1回「中学受験」の記事はこちらからお読みいただけますので、まだお読みでない方は合わせてお読みください。
「通信制高校」と「通信制高校サポート校(以下サポート校)」は、中学卒業後の進路として選べる、わかりやすく言うと「高校」のことです。しかし多くの方がイメージする「全日制高校」とは全く異なります。全日制高校の場合、平日毎日通い、午後まで授業を受けることが一般的です。しかし通信制高校とサポート校の場合、通学日数を週1~5日の中から選ぶことが出来ます(全日制高校同様、平日毎日通うことが基本の学校もあります。逆に通学が難しいお子さんの場合、相談の上、年数回通学すればよいという学校もあります)。通学しない分は家庭で映像授業を利用して学ぶのですが、その際は自宅PCなどを使用します。学校によっては映像授業用・スケジュール管理用にipadを無料貸与してくれる学校もあります。また通学した場合も必修授業は午前中で終わることが多く、午後は選択授業(PC・美術・調理・ギター・声優など)や部活動の時間になるので、午前中で帰宅できる日もあります。また全日制の場合3年での卒業が一般的です。しかし通信制高校とサポート校の場合、最短3年で卒業が可能ですが、在籍期限がないので卒業に何年かけても大丈夫(その後の進路が定まるまで何年いても良い)なのです。
次に通信制高校とサポート校の共通点と違いについて詳しく書いていきたいと思います。共通点は、上記の通り通学日数を選べる・通学しない分は映像授業で補う、という点や、過去に不登校や学業不振に悩んだ経験があるお子さんが多く通っている、という点です。また生活面において自由度が高く、服装(制服がある学校もあります)や髪型などもある程度自由で、学校によっては修学旅行や運動会などの学校行事も自由参加、というところもあります。授業も、小・中学校の内容からきっちり学びなおしたり、習熟度別クラス・少人数クラスにしたりなど、お子さんに無理のないペースで進めています。
違いは、通信制高校は学校教育法で「高等学校」と定められていますが、サポート校は「高等学校」と定められていない、という点です。実はサポート校と言うのは「提携している通信制高校を卒業するために必要なことの大部分を代わりに請け負っている教育機関」であり、厳密には「高等学校」ではありません。そのためサポート校に入学する際は基本的に、「提携している通信制高校にも同時入学」します(2つの学校に入学することになるため、その分学費等も若干高くなります…)。そして普段はサポート校に通うのですが、テストや特別行事の際などに年に数回、提携の通信制高校に行く必要があります。卒業証書にも提携している通信制高校の名前が入ります。そのような細かい違いがありますが、実際のところ、あまり差はないと捉えても良いかもしれません。
「通信制高校・サポート校」という選択についてまとめると、発達障害のあるお子さんの進学先として、お勧めできる場合が多いのではないかと思います。お子さんにとってストレスが少ない環境になると思われるためです。何より、「発達障害のあるお子さんを多く受け入れている、フォロー体制もしっかり整っている」という学校が多いという点で、安心感が高いです。ただ、実際の中身はやはり学校によって様々なので、入学前に個別相談などでしっかり相談されるのがよいでしょう。
最後に、私立の全日制高校から通信制高校・サポート校に転入したTEENSのあるお子さんの話です。転入前は学校の友達や先生への不満が多く表情も暗かったのですが、転入後はそのような不満が出ることも一切無くなり、表情も大分明るくなりました。選ぶ環境でこれだけ大きく変わるのだな、と改めて感じた瞬間でした。
次回は、通信制高校・サポート校の実際の中身を、具体的に何校か取り上げながら紹介していきたいと思います。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます