発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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薬物療法の「薬物」とは一体?

2015年6月5日

TEENS新宿スタッフの金井です。

TEENSでは、医療機関で処方されるお薬を服用されているお子さんがたくさんいらっしゃいます。また、保護者の方から「お薬を飲ませたほうがいいのかしら?」というご質問を受けることもあります。そこで、今回から3回シリーズで、TEENSスタッフとしてお薬について考えていることを綴らせていただきます。

そもそも薬って何なのでしょう?

調べてみると、それを説明するためのキーワードとなるのが「神経伝達物質」でした。脳内にはりめぐらされている神経細胞から神経細胞へと色々な情報(電気信号)を伝える役割を持っているそうです。これがあるから人間は、考えたり、感じたり、判断したり、学習したりできるというわけです。以下に、神経伝達物質の中で特に有名なものを挙げましたが、それぞれが分泌された時の精神活動への影響の仕方が異なります。

  • ドーパミン =>快感、興奮、幸福感
  • セロトニン =>落ち着き、安定感
  • ノルアドレナリン =>やる気、集中、積極性

ある神経伝達物質が過剰に放出されすぎていたり(届く情報が多い)、神経伝達物質をキャッチする受け皿の働きが弱まっていたりして(届く情報が少ない)、そのバランスが崩れると色々な症状や障害が引き起こされると言われています。セロトニンとノルアドレナリンが不足すると、うつ病になるという説はよく知られていますね。

また、放出された神経伝達物質は取り込まれて再利用される仕組みですが、その取り込み口に神経伝達物質が再吸収されすぎてしまう(届く情報が少ない)こともあるようです。

ADHDのお子さんは、脳内でやりとりされる情報が多すぎて多動になったり、衝動的になったりするのかなぁと思いがちですが、実はその逆で、脳内のドーパミンの伝達が不足しているせいで、上手く状況判断できずに特有の行動につながってしまうようです。それでお薬で受け皿に届くドーパミンの量を適量に調整してあげることが有効な場合があるわけです。

「できるだけ身体には異物を入れないほうがいい」「子どもに覚せい剤と似た成分のものを飲ませるなんて」という声も聞かれますが、神経伝達物質そのものを身体に直接入れるわけではなく、ちょうどいい量の神経伝達物質が受け皿と結びつくようにするお手伝い(例えば、再吸収されないように取り込み口に薬でふたをする=>受け皿に届く神経伝達物質を間接的に増やす)をしてくれるのがお薬というイメージです。

こう書いてみると、お薬に「最後の砦」というような特別感はそこまで持たなくなりますが、お薬にはメリットだけでなく、副作用や依存性などのデメリットがあることは否定できませんので、主治医の先生とよく相談され、ご本人およびご家族のご納得の上で選択していただければと思います。

次回は、お薬の種類やそれぞれの効果および副作用について考えてみます。最後の3回目は、お薬との付き合い方についてスタッフとしての目線で書かせていただきます。

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