発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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神奈川県横浜市 「星槎中学校・星槎高等学校」| 発達障害に理解のある学校 インタビュー特集 vol.003

生徒全員に個別指導計画を作成!ひとりひとりの特性や状況をきめ細やかに把握するための仕組み

 個だけでなく集団のなかで成長していく、というお話がありましたが、具体的な取り組みについて教えていただけますか?

蓮田先生 はい。まず、ベースは個へのアプローチだとは考えています。本校では、生徒たち全員に個別指導計画(以下、IEP)を作成してひとりひとりの特性に合わせた教育・サポートを行っているんです。

個別指導計画とは?(星槎高等学校ウェブサイトより)http://www.seisahighschool.ed.jp/education/

で、そのデータバンクが膨大になったので、文科省の委託事業でこれをシステム化しました。ある程度特徴であったり事前の行動観察を入力すると、こういうプロセスでアプローチするといいんんじゃないか?というのが抽出されるんです。更にその情報は全教員が共有できるようになっています。

 理想的な学校システムですね。

蓮田先生 はい。そして、この情報を使って”個”を把握して、集団形成に活用していきます。例えば、座席配置なんかも、生徒同士の相関図をしっかりと把握したうえで工夫するようにしているんですよ。あとは例えば情報を持ちづらい非常勤の先生たちにも漏らさず共有ができるようにして、校内では生徒たちに対して統一したスタンスで、ダブルスタンダードがない状態で接するための仕組みを作っています。

先生たちは忙しいですからね。事務準備や個の見立ての時間に加え、情報共有の時間の確保というのは物理的な限界がきます。なので、ICTを活用して先生の働き方改革もして。こういう積み重ねが、生徒たちの「また明日来たい」という気持ちに繋がっているのではないかと思います。

子どもたちの自己肯定感を高めるための工夫

「アメリカの卒業式体験」の授業に参加させていただきました

 毎日の「学期目標チェックの時間」。生徒さんたちとの振り返りはどのようにしているのでしょうか?

蓮田先生 先生と生徒の間でも、毎日振り返りの時間を持つようにしています。毎日6時間目に「学期目標チェックの時間」として目標に向けた取り組みについて振り返りをするんです。で、それを週に1度もちかえって、子どもと一緒に家庭でも振り返ってもらっています。それで保護者の方に褒められれば、生徒たちの良い行動が強化されていきますから。問題行動の指摘ではなく頑張ってることを認めたり、励ましたりすることで、子どもたちがどんどん変わっていく様子をこれまでたくさん見てきました。丁寧で前向きな評価の機会を得ることで、当然目標に向かう力は伸びていきますよね。

 子どもたちはどのように振り返りをするのでしょうか?

蓮田先生 まず、振り返りのシートをまず自分で書いてもらいます。でも、自己肯定感の低い生徒は最初はバツばかりつけてきますね。なので、あのときのここはできてたよね、すごく頑張っていたよね、というのを改めて先生から伝えて。少しでもできていることを評価しているんです。

でも、そういった教師を始めとした大人との関わり合いの中でできることっていうのは限られているんですよね。それ以上に、生徒たちが子ども同士の関り合いの中での学びの方が大きいとは思っています。大人との関り、子ども同士の関り、どちらも大切ですから。そういった経験の積み重ねで、本校を卒業した後、将来にもつながる自尊心を育んでいると感じています。

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