今回は3月から開始いたしました発達障害専門塾『まなびTEENS』の現場からお伝えします。
発達障害*のあるお子様の学習指導をする際、「学年相応の学習に追いつかせるために型で覚えさせる」という方法もあります。即効性があり、型としてルーチンが入りやすいお子さんにはとても有効な手段だと思います。
しかし、まなびTEENSでは見た目の効果よりも、つまづきの深層、つまり発達障害のあるお子様の学習に関する困り感の芯の部分に向き合い、アプローチするためインプットとアウトプットの演習を繰り返していくプログラムを提供する。
実際にまなびTEENSで見られた1シーンとして印象に残っている場面についてご紹介します。絵を見ながらそれについてお子さんとやり取りをしていました。
「梅干しの味は?」
「すっぱい!」
「ピーマンの味は?」
「にがい!」
「じゃあチョコレートは?」
「おいしい!」
ん??
「じゃあケーキはどうかな?」
「ケーキもおいしい!」
んん??
こちらとしては『甘い』という答えを予想していましたが、お子さんからは『美味しい』という単語が…!確かにケーキはおいしいですよね…目から鱗の回答です。
柔軟な発想力にそこにいた大人が思わず笑顔になってしまいましたが、将来的にやりとりの齟齬を防いでいくためには、この”概念の階層の理解”のずれについては丁寧に指導をしていく必要があります。
これは何も特別なことではなく、発達障害のお子さんであれば(程度の差はあれど)よく見られる光景だと思います。お子さんの認識としては何ら不自然なことはなく、いつでも『あまい=おいしい』は成り立っているのです。
しかし、おそらくそういった間違いが見られても周囲からは「それは違うよ、『甘い』でしょ」とだけ教わり、お子さんご本人としても何が違ったのか分からないままになってしまうことが予想されます。根本的に何が違っているのかが分からないため、また別の場面で間違えてしまうのです。
これを単なる言い間違い、と捉えることも出来ますが、知識の階層化のエラーや主観客観の混同の問題としても捉えることが出来ます。
まなびTEENSではスタッフから一方的に「それは『甘い』と言うのだ」と教え込むのではなく、「あなたにとっては『美味しい』でも私にとっては『美味しい』ではないとき、どうやって味を伝えよう?」とお子さん自身に考えてもらい、最終的にはお子さん自身から「甘い」を引き出すことが出来ました。
そしてその後、そのお子さんは『甘い』を間違えることはありませんでした。お子さんの中で「すっぱい」「にがい」「あまい」は同列に、そしてそれとは別の軸に「おいしい」「おいしくない」が整理されていきました。
すでに水曜日に開催していますまなびTEENSですが、5月より火曜日にも開催が決定いたしました!
それに伴い、体験セッションも受付を開始いたしますので、「うちの子に合うのかしら…」「どんな雰囲気か試してみないと…」と迷われていた方も、ぜひこの機会にご参加ください。実際に参加してみるとことで安心してお通いいただけます。
体験セッションは以下のサイトからお申込みいただけます。今後もまなびTEENSをよろしくお願いいたします。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます