TEENSの飯島です。本日は三連休のど真ん中に開催した、Kaienペアトレ 10代以降の発達障害を考えるご家族向けの『就職準備勉強会』の特別講演についてレポートします。
ペアトレとは、「ペアレント・トレーニング」の略で、障害のあるお子さんをもつ保護者の方を対象に、講義やワークを通して家庭でも療育を行えるようにトレーニングしていくためのプログラムです。
このペアトレ、保護者が障害の基礎知識をえたり、障害を受容したり、行動課題(衝動的で多動だとか、感情が爆発しやすいとか…)への対応方法を学んでいくことが目的となる場合が多く、基本的には子どもが幼児・児童期に行われます。
では、障害について理解していて、受容もしていて、お子さんも年齢が進んで目に見える行動課題が減ったときに、子育ての悩みは解消されるか?…されないですよね。中学、高校、大学、就職と…思春期から青年期に進むにつれて、子育ての悩みは消えてなくなるのではなく姿かたちを変えて常に存在し続けます。
一方で、療育センターなど保護者が頼れる機関は徐々に減っていき、保護者どうしの繋がりも薄くなっていく…。
「一番なおざりにされているのは親」
【参考】理想の医療とシステムを目指して vol.7 発達障害クリニック 神尾陽子 医師
発達障害クリニックの神尾陽子先生の言葉。TEENSで子どもたちに接していると、保護者の方の前向きさ/安定がお子さんの中長期的な発育に大きく影響するなあというのはひしひしと感じていますが、それができるかどうかは親御さん任せというのが現実です。
そんなわけでKaienでは「10代以降の発達障害を考える 就職準備勉強会」と銘打って、思春期・青年期の子どもたちの親御さんたちにスポットライトをあて、進学/就職などの情報をお届けしています。
特別講演では、約120名が参加。ストレスケア東京 上野駅前クリニックの細川大雅先生に「発達障害児の子育て 子のストレス・親のストレス」というタイトルでお話いただきました。
ハイライトをまとめておきます
実際にクリニックで行われているデイケアの様子など、たくさんの事例紹介を盛りこまれた貴重な講演でした。
後半は参加者同士で進学/就労/支援機関、など、興味のある分野に基づいて座談会もひらきました。そこでの学びをご紹介します。
前段でもご紹介したとおり、ペアトレというのは当初「親は子どもの最良の治療者である」という考えの元始まっており、家庭で適切な支援を行うための訓練として行われてきました。
確かに、行動障害があるなど対応に”心構え”が必要であり、お子さんが混乱しないように家庭とそれ以外の場所での対応に統一性が求められる幼少期にはそのスタンスは大切です。ですが、子どもが成長し自立への道へ進む中で親はいつまで・どこまで子の「治療者」であるべきなのでしょうか?
今日出た中で印象に残ったアンサーは、とある保護者の方の「教育/支援は外注する。それができる頼れる人を見つけるのが親の役目」でした。勉強については家庭教師、就職については支援機関…。本人が信頼できる思える人たちを探すためのサポートを全力でして、そこに繋げる。思春期以降、先生役や支援者役を親が担うのはお互いにとってストレスになるからプロに頼む。でも”最後の安全地帯”を作ることは親にしかできないから、そこだけは守り続ける…。
ひとくちに「発達障害の子の親」と言っても、ライフステージや年代におって求められる立ち位置が変わってきますよね、それを適宜切り替えていく必要があるよね、というお話に思わず頷き合いました。
今回4つのグループで座談会をしたのですが、うち3つからあがったのが「Kaien親の会がほしい」ということでした。
日本にいくつも親の会はありますが、以下がネックとなっているようです。
親の会ではないですが、今回のペアトレ参加者の方には「Kaienペアトレクラスルーム」というウェブ上で、ゆるーく、でも必要な時に繋がれるペアトレ参加者の輪ができるようなプラットフォームを始めています。今回の座談会のようなイベントも、また開催していきたいと思います。
雨でお足元が悪い中ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
▼参考リンク
【4期生 募集中!】Kaienペアトレ 10代以降の発達障害を考えるご家族向けの『就職準備勉強会』
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます