森谷 画一的ではなく、個別的な教育というのが徹底されているように感じますが、先生方がそういった意識統一をするために取り組んでいることはありますか?
長谷川先生 本校の教員は、みんなで「カウンセリング」「メンタルヘルス」などの専門研修を受講して資格を取得しています。そのため、単なる「熱心な先生」で終わるのではなく、きちんとした専門性を身につけられるような体制が整っているのは自慢ですね。あとはカウンセラーの先生にも常駐していただいているので、教員の相談環境というのもしっかり確保できています。
森谷 専門性をもった先生たちが、チームでサポートできる体制を整えている、と。
長谷川先生 はい。毎日のできごとは共有できるシステムがありますので、そこに情報を集約して毎朝、全教員でそれを確認するようにしています。
最近のできごとのことも入っていれば、重たい悩みとか。保護者の悩みとか、指導中の状況とか。「声かけられるのが苦手、しばらく休んでいて本日登校。「久しぶりだね」が禁止」とか。細かいようだけれど、大切なことを事細かに共有するようにしています。言葉かけがうれしい子たちばかりではないですよね。トラブルを事前に防げるように、徹底的に準備するようにしています。それぞれの生徒たちにとって心地よい距離感や関りを実現していくためには、情報共有が不可欠ですね。
あとは、先生たちには”ヘルプ”ではなく”アシスト”を意識してもらうようにしています。100%助けるのが”ヘルプ”。でもこれだけだとただ助けてもらって終わり。そこでの学びは少なくなってしまいます。なので80%くらいの、”アシスト”の関りを目指します。
どうしても教育では過保護になりすぎてしまう傾向があるんですよね。手厚いサポートがあると、できた感はあるかもしれないけれど、実際には身についているものが少なかったりするわけです。自己解決能力を身につけさせるために、わざと80%くらいの干渉度合いでアシストして。そして、できたことに対してはたくさん褒めてあげる。その繰り返しで自信がつき、自ら取り組んでみようという気持ちになりますし、自己解決能力も身に付きます。本校の教育目標は『自主自立』です。この目標が達成できるような教育を実践しています。
▶NEXT PAGE 専門学校を招いての職業体験 具体的に将来をイメージしていくための仕掛けづくり