TEENSの飯島です。こんなときTEENSの第6弾です。
こんなときTEENSとは?…TEENSでのセッション内容についてご紹介しているシリーズ。冊子もあります。
今回は、これまであまり大々的に告知せずひっそりと昼間の時間帯に開所している「日中支援」についてご説明します。
日本では中学までは公立学校での受け入れ態勢が比較的整っているので、多くの人が悩むのは中学卒業後の進路です。
発達障害*のあるお子さんたちの中には毎日通うことがそもそも難しい、勉強についていかれない、などの理由から全日制高校に通うことが難しいタイプの子が少なからずいます。そんな子たちに選択肢の一つとして挙げられるのが、定時制や通信制の学校です。
参考リンク:高校生の発達障害
発達障害のある子どもたちにとって、定時制や通信制を選ぶことのメリットはどんなものがあるでしょうか。
【メリット】 自分のペースで過ごしやすい
定時制高校の多くは、午後の時間帯から授業が始まり授業時間も4時間程度と全日制と比べると短くなっています。通信制は月に2~10回程スクーリングやレポートの提出、試験などがありますが、それ以外の時間は自由に過ごすことができます。活動ペースがゆっくりだったり、体力や集中力に自信のないお子さんにはお勧めです。
また、他者との交流が苦手・苦痛なタイプのお子さんには、特に通信制の方はそういった機会を最小限に抑えられるのも魅力的でしょう。
【デメリット】 生活リズムが乱れやすい、人の交流機会が少なくなる
”あるある”なのは朝起きられなくなることです。自由度が高い分、よほど自分を律せられる子か家族のサポートを得られるこでないとこの年齢で生活リズムを保つことはなかなか難しいといえます。
また、他者との交流が苦手だったり苦痛だった場合にそういった機会を減らす・避けるのも一つの手段ではありますが、発達途上の10代のお子さんの可能性を考えると、それがベストとはなかなか言い切れないのも事実です。将来のことを考えたら、今のうちからよい交流経験を積んでいってほしい、と考える親御さんも少なくないはずですし、実際その方がご本人にとってもよい体験が積める場合も十分にありえます。
そんな子たちにおすすめなのがTEENSの「日中支援」です。
こちらは放課後のセッション(15:30~19:00)よりも参加人数が少ないため、落ち着いた空間の中で活動できるのが特徴となっています。コミュニケーションに苦手さがあるお子さんも、まずはスタッフとの1対1のやりとりから練習することができます。
また、来所時間や帰宅時間も個別にあわせられるため、お昼を挟んで10:30~14:00まで最大3.5時間滞在することもできますし、長い時間の外出が難しい場合は利用時間を短くすることも可能です。
【利用事例①】 定時制高校に通うお子さんの場合
学校に行く前に、週2日ほど通っています。利用時間は10:30~14:00までで、昼食も持参してスタッフと召し上がっています。セッションでは主に学校の課題やテストに向けての勉強をします。
【利用事例②】 通信制高校に火曜お子さんの場合
TEENSのパソコンを利用して学校に提出するためのウェブ課題にとりくんでいます。外出自体が苦手だったため、週1回12:30~14:00の利用から始め、1年後には週3回11:00~14:00のペースで通うことができるようになりました。
参考:平日日中の学習指導 https://www.teensmoon.com/studysupport/daytime/
今はゆっくりと自分のペースで過ごせたとしても、社会に出た時に多くの人は決められた時間に決められた場所に、安定して通うことが求められます。それはかっちりとした性格の自閉スペクトラム症タイプのお子さんであれば得意分野かもしれませんが、注意が散りやすいADHDタイプのお子さんにとっては難易度が高くなります。
こういった習慣は、大人になって突然身につくものではなく、小さいころからたゆまなく練習を積み重ねて無意識にできるレベルにしていく必要があります。
活動の自由度が高まっても自分を律するのは難しい高校生年齢のお子さんには、事前に規則正しく生活するための枠組みを設けておくことをおすすめします。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます