―――公に「受け入れしてます」って学校側としては表明していないけれども、この学校に理解のある先生がいる、というのを知る術のようなものはありますか。
西別府先生 やはり、いろいろな説明会に行って、聞いていくのが一番だとは思います。
学校で行われる学校説明会だと他の先生の目もあるから、ついつい模範的な回答に終始してしまい深い話をしにくかったりするんですよね。なので、「ホントのところ」の話を聞くには、個別相談でブースになっていたりして聞きやすい。
―――なるほど!リアルな先生目線の話ですね。
西別府先生 あとは、早め早めに相談することですね。
―――というのは?
西別府先生 受験期に受け入れ状況を聞かれると現状体制が整っていない学校はNOと言わざるを得ないんです。でも、何とかしたいのになあ、とじりじりしている先生は必ずいます。話を持ち帰って可能性を模索してもらえる可能性もある。
あと、早い段階で聞けば少し先の話になる分先生も身構えずに安心して実情について話が出来ますしね。「今少しずつ受け入れ態勢が出来つつある」というような「今後の展望」も手に入れやすいから早い段階で聞いた方が良いでしょう。
―――なるほど~。ではどれくらいのタイミングが目安ですかね?
西別府先生 中学受験なら、小2・小3くらいでも正直いいと思います。4年・5年でそろそろ受験だけれど公立は難しそう、となった段階で受け入れてくれる私立あるかな、では遅くなってしまう可能性が高いので。
―――懸念点としては、親御さんとしては受験前だと合否に不利益になるのではないか、と考えてしまうと思うのですが。
西別府先生 私の学校の場合は早めに言ってほしい、入学前に言ってほしいが基本です。他の学校さんも、現場で働いている先生は早めに言ってほしいとみなさん仰います。
―――それは、どういった理由でしょう?
西別府先生 やはり、何か事故や生徒が傷つくようなことが起きてからでは遅すぎますよね。早ければ事前の対応も考えられる。保護者の方から「うちの子こうなので、特別にこういうサポートをしてください」と入学後唐突に言われても私たちも準備ができていないので困る、というのが本音です。責任取れませんから。
学校としてどこまでできるか。もちろん生徒の学校生活が良きものになるよう、私たちも頑張りたいですが、一方的に注文される形で、更に何か起きたら責任取って下さいと言われると「それはできません」となってしまう。
「こういう時に備えてこう対応をしましょう」とか、「万が一うまくいかなければまた一緒に考えましょう」とか、相談しながらすり合わせができるのがお互い理想的ですよね。そういう良い信頼関係が結べなさそうだな、と思われてしまうと受け入れが難しい、という判断になってしまうこともあると思います。
―――診断名も含めてお伝えしたほうがいいということでしょうか?
西別府先生 そこにはこだわらなくていいと思います。普段のお子さんの様子と、そこにまつわるご不安を学校側へ率直に話してくださるだけで、先生との会話が進むと思います。
当然、診断名については言いづらいですよね。いつ言ったらよいだろうと悩まれると思うので、僕の場合は先に聞くようにしています。「お子さん、普段どうですか」と。お子さんと一緒に相談にいらして、5分10分じっとしていられないお子さんの場合は「うちの生徒も結構じっとしていられないですよ」と親御さんに安心してもらうようにしながら。
お子さん自身にも「ごめんな、つまんないだろ」と安心できる声掛けをして、少し話しやすい空気を作りながら話します。学校側も、そういった雰囲気づくりができれば、どの学校でも相談しやすい環境ができて前にすすめるのかも知れませんね。
―――相談の時点で、そういう雰囲気になるような学校だと確かによさそうですね。ちなみに、先生の学校では入学前に発達障害について親御さんから相談を受けた場合は、どのような対応をされるんですか。
西別府先生 まずは、本当に発達障害という診断があるのかを確認しますね。現状についてのご本人側からの聞き取りに加え、学内に相談室がありカウンセラーもおりますので、教職員側もカウンセラーから対応などについて相談して、次に来ていただいたときにもう少し具体的なお互いの対応について確認をさせていただきます。
―――専門家も交えて考えていく…と。
西別府先生 究極を言えば僕は、身体障害の方も発達障害の方も、何とか障害って言う名前が付くものに限らず、人それぞれ平等だと思っているので、いろんな知識を学校が共有すべきだなと思います。下の代にどんどん情報を伝えていかないと、せっかく良くなっても、せっかく開かれた学校でも、誰かか閉じてしまう可能性がある。開いたところは常に開いておいてほしいですから。どんどん下に、情報を繋いでいけば、どんな障害名でも受け入れるのが普通になると信じています。今回は発達障害の方ですけど、それにかかわらず、人間みな本当に平等なんだということを僕は生徒に伝え続けていくつもりです。
―――ありがとうございます。本当に先生のような方がいろんな学校にいるといいと思います。学校でも社会でもそうだと思いますが、発達障害とか特性のある方への対応や情報をみんなが知っていけば、みんなが幸せな社会になるのではと感じます。そのために情報を沢山広めていく、正しい知識や情報を広めていくことは本当に大切だな、とお話を伺って思いました。本日はありがとうございました。
凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹
TEENSでは発達凸凹の子どもたちの進路選択の幅を広げるべく「発達障害に理解のある学校」の情報を集めています。
「我こそは発達障害フレンドリー校だ!」という学校関係者のみなさま
「わたしの通う学校こそ発達障害フレンドリー校だ!」という在校生・保護者のみなさま
「この学校について詳しく取材してほしい!」という受験生・保護者のみなさま
ぜひこちらのページで紹介させてください。情報をお待ちしております!
✉teens@teensmoon.com (学校インタビュー担当 宛)
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます