――――興味を引き出すための仕掛けとしては、どういう機会があるのでしょうか?
檜山先生 例えば、行事を非常に多く設定しております。チャンスの場を多くするためです。1年時に行けなかったから卒業まで参加できないではなくて、2年の時、3年の時に参加できるよう、チャンスを増やす意味で数自体を増やすようにしています。あとは様々な人を招いて、人とのかかわりの場を設けるようにもしているので、自分に合った刺激や気づきをもらえるチャンスも多くなり、人が好きになって卒業していく生徒が非常に多いと感じています。
――――逆に、行事が多いと嫌だな、学校に行きづらいなと感じる生徒さんもいるのかなと思いますが。
檜山先生 強制参加ではなく任意ですし、例えば体育が嫌いで体育祭が嫌だという生徒も多いですが、苦手な時は種目に出なくても、委員や係といった役割としての参加ができるようにしております。
――――無理のない参加の仕方があるということですね。
檜山先生 修学旅行も人気があります。「グアムで異文化交流」という、現地の小・中・高校生と日本文化の良いものを英語で伝えよう、発表しようという企画がありまして、例えば折り紙や紙相撲などの日本文化を英語のスピーチで紹介するのですが、これを体験して帰ってくると表情が全然違う。自信のないお子さんも、飛行機に乗る、他校の生徒と交流するなど、初めての経験を積んで、さらに人前で発表まで体験することで自信がつくようです。集団の中で新しい経験を積み、失敗をしても大丈夫だという、よい意味で自分の価値観を壊すような、刺激となる体験の機会を増やそうと考えています。
――――先生も先ほど仰っていましたが、1年生では行けなかったけれど、2年や3年で行けるようになったという生徒さんも実際にいらっしゃるのですか。
檜山先生 はい。例えば1年生で宿泊合宿に行った際には途中で帰るという生徒も何人かいましたが、2年生になったら最後まで参加できました。そういった経験が重なって、最終的に自信につながっていく。多分積み重ねなんですよね。積み重ねと繰り返しという事を重視しています。
集団活動に慣れていないと嫌がる生徒は多いのですが、後々話を聞いてみると、「本当は行きたかった」と言います。その時は周りの事を考えすぎたり、迷惑かけるのではないかとか思ってしまって行かないと言ったけれど、本当は友達と一緒に行きたかったというのがよくあるので、参加してみようかな、と思える機会を多く設けるようにしています。
――――進路についてお伺いしても良いですか。
檜山先生 進路に関して、わせがくは大学進学希望が特に多いです。同じ法人の中に早稲田予備校があり、5日制の生徒は無料で何科目でも受けられるというのもあると思いますが、予備校に行く生徒もいますし、集団に慣れていない生徒はタブレットで学習できます。先生に学校で放課後指導を受けたい生徒もいるので、主にその3つからそれぞれ選んで進学を目指します。人との関わりを持ちたいという生徒が多いので、意外と少ないのはタブレットかもしれないですね。発達障害の生徒にも「自分なんて」と遠慮していても、本音は進学したい生徒が沢山います。それで、うちに来て大学進学を目指して学んでいる方が沢山いらっしゃいます。
――――最後に、これだけは伝えておきたいというメッセージをお願いします。
檜山先生 そうですね。最近、お子さんも親御さんも通信制の学校に来る時点で諦めている方が多いと感じるのですが、そうではないことを発信していきたいです。未来に希望を持てなくなっている親御さんや生徒が、わせがくで学ぶことで、諦めなければ夢はかなうんだと実感できるよう、3年間というわずかな時間ですが、お手伝いしたいと思っています。皆さんはこれから人生の目標へ向けて進んでいく方ですから、わせがくが笑顔の時間と回数を増やしながら充実した3年間になるようサポートできればありがたいです。
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TEENSでは発達凸凹の子どもたちの進路選択の幅を広げるべく「発達障害に理解のある学校」の情報を集めています。
「我こそは発達障害フレンドリー校だ!」という学校関係者のみなさま
「わたしの通う学校こそ発達障害フレンドリー校だ!」という在校生・保護者のみなさま
「この学校について詳しく取材してほしい!」という受験生・保護者のみなさま
ぜひこちらのページで紹介させてください。情報をお待ちしております!
✉teens@teensmoon.com (学校インタビュー担当 宛)
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます