これであなたもパワーアップ!日々のバトルを生き抜く”セルフアドボカシー”講座
苦労や悩み多き子どもたちにセルフアドボカシーのスキル(自分を活かす交渉術)と行動力を授けるシリーズ。
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あら、てつお君、こんにちは。てつお君が気にしていた豊洲移転(とよすいてん)がついに終わったわね。
そうですね。飯島先生、ぼく、昨日お母さんに「てつおは発達障害*で、ASD(えーえすでぃー)だよ」って言われたんですけど、ASDってなんですか?詳しく知りたいんですけど、教えてもらえませんか?
あらあら、そうだったの。なるほどねー、いいわよ。
ASDっていうのはね、日本語だと「自閉スペクトラム症」っていうのよ。生まれつきの脳機能(のうきのう)のちがいから、感じ方とか、考え方とか、表現の仕方が、違う人のことをいうのよ。心の病気だと誤解されることがあるけれど、そうではなくて情報処理のちがいの状態のことなのよね。
え、でも先生、感じ方とか考え方とかって、みんな違うものじゃないんですか?
あら賢いわね。だから”スペクトラム”って考え方をするのだけれども、どこまでが自閉症じゃなくて、どこからが自閉症かっていうのははっきり境界線(きょうかいせん)があるわけじゃないの。特性が環境にあわなくて、本人や周囲が困っているときに診断を受ける可能性がでてくるの。
ふーん、自閉スペクトラム症にはどんな特徴があるんですか?
てつお君で言えば、あなたすごい電車オタクでしょう?
まあ、JRの全部の駅名を言えますからね。
それってすごくASDっぽくて素敵よね。何かに尋常(じんじょう)じゃない興味関心をもつのはASDの特徴のひとつよ。
へーそうですか。他にはありますか?
今日、時間割が変更になってすっごくイライラしていたでしょう?秩序(ちつじょ)とルールを愛する精神も、すごくASD的よね。
あとは、てつお君、うるさいの苦手でしょう?感覚が過敏で繊細なのも、ASDの特性の中にあるわ。
でも先生、自閉スペクトラム症って喋らない人のことですよね?僕、あまり話すのは好きじゃないですけど、言いたいことがあったら言いますよ。
あら、それはおろかな誤解よ。自閉スペクトラム症って名前がわかりにくいのだと思うけど、別に「自ら閉じこもっている」って意味じゃないから。おしゃべりさんなASDの人だってたくさんいるわ。
ASDっていうのはね、同じ診断名でも症状が十人十色なのよ。すごーくよく話す人もいれば、ほとんど人と話さない人もいる。感覚が過敏な人もいれば、逆に鈍麻な人もいる。奥が深いのよ。
ふーん、そうですか。
ASD(自閉スペクトラム症)
アスペルガー、高機能自閉症などもASDの一種です。一応細かな違いはあるのですが、実用的にはほとんど意味がないので「全部まとめてASDって呼ぶんだな」くらいの理解でOK。
▼子どもたちが発達障害を正しく理解するために(ASD(自閉スペクトラム症)編)
ここ数年、発達障害という言葉は知名度があがり一般的なものになってきました。一方で、発達障害のことが正しく理解されているかというと、その部分は大いに疑問が残ります。特に、症状が人それぞれ異なるASD(自閉スペクトラム症)は理解がえられにくく、未だに「あいつはアスペだから空気が読めない」なんて揶揄の対象になっているのが現状です。
▼啓発と同時に目指す、子どもたちの自己理解
発達障害への理解を高めるための啓発活動は重要です。しかし、実はそれ以上に大切なのは当事者である子どもたち自身が発達障害への正しい理解をすすめていくことが大切です。
お子様が誰かと”発達障害”について話す機会はどれくらいありますか?多くの方は診断を受けるときなど何か特別なタイミングに限定されているのではないでしょうか。子どもたちはインターネットを通じて自分で情報をとりにいくことが少なくなくなってきましたが、いかんせんネット上の情報は玉石混合であり、子どもたちが誤った情報に触れてしまうリスクは非常に高いです。
▼性教育ならぬ”特性教育”の必要性
子どもたちと発達障害について、フラットに話す場を設けるのはなかなか難しいでしょう。しかし、悪意ある誤った情報に子どもたちが触れてしまったときに、傷つくのは彼ら自身です。
別の分野ですが、日本では性教育が遅れている反面「性情報」に触れる機会は年々増加していることが問題視され、教育の場で躊躇せずに正しい情報を伝えていくことの重要性が叫ばれています。同じように、発達障害についても、子どもたちが正しく学ぶ権利を保障していく必要があるでしょう。
子どもたちが発達障害について正しく理解すること。そのうえで自己理解を深め、ありのままの力を活かした人生を送っていくこと。その姿自体が最大の啓発活動に繋がっていきます。
凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹
このページでは、発達凸凹のある子どもたちが自分の特性を理解・受容した上で、どのように社会に対して権利主張をしたり合理的配慮を求めればよいかをご紹介しています。子どもたちが生活の中で困り感を感じることがあった際に、参考にしてください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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