発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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発達障害と思春期|思春期の心と発達障害の特性を解説18歳での情緒安定のためには ~親以外に頼れる大人はいますか?~

発達障害*のある子どもたちでは、思春期の年代にイライラしやすくなったり、無気力になったり、二次障害といわれる心身の不調をきたすなど、周囲が心配になるような状況が見られることが少なくありません。

本記事では、2024年2月14日に行われたKaien特別セミナー「医師に聞く【発達障害と思春期】 」にて、筑波大学名誉教授・筑波総合クリニック医師である宮本信也先生にお話しいただいた内容を紹介しています。

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思春期の心の特徴 

思春期の年代になると、様々な心・体の変化が現れます。一方で、思春期の心の変化は発達障害の特性と混同されがちです。まずは宮本先生に思春期の心にどのような特徴があるのか解説していただきました。

思春期心性とは

思春期心性とは、発達障害の有無にかかわらず、思春期の子どもにみられる一般的な特徴のことを言います。

例えば、

  • 抽象・理想主義的な考え方をする
  • 自分自身を客観視できるようになり、自己否定的・自己卑下的な考え方をする
  • 大人・社会に対する反抗心を持つ
  • 同年代からどう思われているか気にする
  • 性衝動と葛藤 

これらの背景により、気分の落ち込みや白黒思考、反抗的な態度、イライラ、暴言などの思春期に特徴的な行動が現れます。発達障害の診断を受けていると特性と混同されてしまいがちですが、一般的な思春期年代に多く起きる変化です。

思春期心性 関わり方の基本

実は思春期の子どもたちは、自分自身でも理不尽なこと・本当は違うことを言っていることに気づいており、そこを指摘されるとより反抗的な態度をとってしまいます。そのため、基本的には見守りつつ、傾聴・理解的な対応をすることがポイントです。

  • 子どもの話をよく聞く(傾聴
  • 間違ったことを言ったとしても、肯定も否定もしない 「あなたはそう感じたんだね」
  • こちらの意見は、最後に伝える 「こういう風に考えることができるかもしれないね」
  • 相手の話した言葉を繰り返す、相槌を打つ 「そうなんだね、〇〇だったんですね」
  • 共感的な態度をとる 「それは悔しかったですね」
  • 考え・行動を認める 「今休んでいるのは、エネルギーを蓄える時期と考えてよいのではないでしょうか」

思春期に増強する 発達障害の特性

思春期の子どもにみられる一般的な特徴として思春期心性をご紹介しましたが、発達障害が背景にあることで、思春期心性の特徴が通常よりも強く出てしまうことがあります

  • ASDの場合
    • 独り言やうろうろ動くなどの常同行動が増える
    • 融通の利かなさ、こだわり、一方的な理屈や自己主張が強くなる
    • 過去の出来事に固執する
    • 哲学的命題(生死、宇宙など)や戦慄的事柄(死体など)に固執する など
  • ADHDの場合
    • 忘れものが増える
    • 部屋を片付けられない など

また、発達障害の二次障害を発症し、治療が必要になる場合もあります。これらには薬物療法のほか、環境調整や生活指導、心理療法、認知行動療法などの治療が行われます。

  • 行動問題(不登校、興奮、暴力、暴言、自傷など)
  • 精神問題(不安症、強迫症、抑うつ、拒食症など)
  • 進退問題(単純性肥満、過敏性腸症候群、頭痛など)

発達障害 子どもにどう伝える?

思春期の年代になると、発達障害のある子どもたちは少しずつ他者との違いに気づき始めます。インターネットで調べる中で「自分って発達障害かもしれない」と考える子どもも少なくありません。しかし実際に自分にどのような発達障害の特性がありどう対処すればいいのか、自分一人で理解し受け入れることは困難です。

告知よりも「心理教育」

以前からどのように「告知」するのかが問題視されてきました。しかしここでは告知ではなく「心理教育」という考え方をご紹介します。

「心理教育」は医療の領域で「疾病教育」ともいわれ、元は病気の原因・症状・治療・その結果・今後の変化などを説明することで、患者が前向きに治療に取り組めるようになることを目的にしています。

発達障害においても、「あなたはASDですよ」とただ伝えるのではなく、対処法などもセットで伝えることが重要です。

いつ、何を、だれが、どのように伝える?
  • いつ?
    • 子どもが「自分って発達障害なの?」と尋ねてきたとき
    • トラブル・自己否定的な言動が増えたとき
  • 何を、だれが?
    • 本人の特性…いつでも、だれでも(こういう特徴があるよね、こう対処すれば大丈夫だよね)
    • 診断名…本人が尋ねたら、医師が
  • どのように?
    • 誰にでも得意・不得意があるという文脈で伝える
    • 「障害」ではなく、「特性」として伝える
    • プラス面とマイナス面から見た特性を説明する(表裏一体)
    • 特性があることで生じる問題点と、対処方法を説明する(助けを求めることも立派な対処方法の一つ)

比較的穏やかに18歳を迎えるために

特に発達障害のある子どもたちにおいて、不安定な思春期の時期を乗り越えて穏やかに18歳を迎えるためには、家族以外の大人によるかかわりが重要です。

  • 思春期の時期に、
  • 第三者の大人(担任の先生、養護教諭、放課後等デイサービスのスタッフなど)が、
  • 淡々と黙って子どもの話を聞いてあげる。

このような経験を繰り返していく中で、子どもたちは「自分が社会から受け入れられている」と感じ、二次障害などの予防につながります。

ティーンズでも発達障害のある思春期年代が多く通う放課後等デイサービスとして、しっかりと子どもたちの考えを受け止め、健やかな心の成長を支えていきたいと考えております。

 

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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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