発達障害*とは「発達しない障害」ではなく、特異的(他の人とはちがう形・スピード)に発達していく障害です。
そのため、学校でみんなが一斉に受ける授業とは別の形でトレーニングをしたり生活を工夫することで、レベルアップしやすくなることもあります。
このページでは代表的なトレーニング方法やメソッドとその効果についてご紹介をします。どんな力を伸ばしたいか考えながら選択できるとよいでしょう。
なお、いずれの方法も自分ひとりで行うのはなかなか難しいです。こういったサポートをしてもらえる機関を探して頼れるとよいでしょう。
学校でのできごとなど、様々なシチュエーションをイメージして「社会生活の中で自分が困りそうなことをどう対応すべきか?」を予習したり、気持ちの整理をするプログラムです。
やり方は様々ですが、「こんなときどうする!?」を何人かでディスカッションしたり、ロールプレイをするのが一般的です。
最近ではVRを活用したSSTも誕生しています。
行動の原因/理由を探りながら、プラスの行動を増やし、マイナスの行動を減らすための手法です。
例えば「人を叩いて怒られることが多い。やめたいのにやめられない!」と悩むことがあったとします。そのときには、どうして人を叩いてしまうのかの理由を、専門家に手伝ってもらいながら整理していきます。
仮に、人を叩いてしまう理由が、「不用意に人が近づくと不安になる」だったとしましょう。
まずは人を叩かなくて済むように、机の距離を離すなど環境を調整します。あわせて、「人を叩いたときに叱る」のではなく、「叩かなかったときに評価」してもらうようにしましょう。
評価の方法は、あなたのモチベーションアップに繋がるものがいいでしょう。尊敬できる人に褒めてもらいエネルギーにするのか、◯回成功したらご褒美に何かプレゼントしてもらうとか…。
これは自分ひとりだけではできず、協力者が必要です。専門家に相談しながら、ご家族や先生、周囲の人と相談しながら取り組めると良いでしょう。
不安が強くなりやすい人におすすめです。ものごとの捉え方・受け止め方を見直して、柔軟にすることで、気持ちを楽にしたり行動を変えたりする方法です。
以下のように、偏った考え方をしてしまうことはありませんか?
①根拠のない決めつけ | 証拠が少ないままに思いつきを信じこむこと |
②白黒思考 | あいまいな状態が耐えられず、ものごと全て白か黒かという、極端な考え方で割り切ろうとすること |
③部分的焦点づけ | ものごとのごく一部だけに目を向け、短絡的に結論をだすこと |
④過大評価・過小評価 | 自分が関心のあることは大きく、逆に自分の考えや予想に合わない部分は小さく捉えること |
⑤「べき」思考 | 「こうあるべきだ」「あんなことすべきでなかった」と過去のことを思い出して悔やんだり、自分を責めたりすること |
⑥極端な一般化 | 少数の事実を取り上げ、全てのことが同様の結果になるだろうと結論づけること |
⑦自己関連づけ | 何か悪いことが起こると、自分のせいで起こったのだと責めること |
⑧情緒的な理由づけ | そのときの自分の感情だけにもとづいて判断すること |
⑨自分で実現してしまう予言 | 「どうせうまくいかない」というように、自分で否定的予測を立てて自分の行動を制限してしまい、自分の行動を制限することで予測通り失敗すること.その結果、否定的な予測をますます信じ込み、悪循環に陥る |
こんなときには、以下のように考えを整理していくと、ものちがう見方・捉え方ができるようになると気持ちがぐっと楽になるはずです。
STEP1 状況(どんなことが起きた?) |
LINEの返事が返ってこない |
STEP2 気分(どんな気持ち?) |
辛い(80%)、悲しい(70%)、絶望(60%) |
STEP3 自動思考(どんな風に考えた?) |
もうこの友達には嫌われてしまったのだ |
STEP4 根拠(どうしてそう思った?) |
友達ならすぐに返事をするはずである |
STEP5 反証(反論するとしたら?) |
忙しくて返事ができないこともあるだろう |
STEP6 適応的思考(現実的に柔軟に考えるなら?) |
お互いのプライベートを大切にできるような友人関係を築いていこう |
STEP7 気分の変化(気持ちはどんな風に変化した?) |
辛い(50%)、悲しい(30%)、絶望(10%) |
様々なメソッドを実践していく上では、まず「自分自身について正しく理解している」という状態をつくることが大切です。そのために、日々のことを記録していく週間をつけましょう。
目の見る力を高めるためのトレーニングです。書いたり読んだりすることが苦手な方におすすめです。
専門の教材が売っているので、参考にしてみるとよいでしょう。
色々な刺激に過敏すぎたり(ちょっとした刺激で痛みを感じる など)、鈍感すぎる(痛みを感じにくく怪我をしても気がつかない など)、自分の身体を上手にコントロールできない、などの悩みをもつ人におすすめです。
日常の中で取り入れられるものから、専用の機材が必要なものまで様々です。作業療法士という専門家がいる機関に相談をして、一緒にとりくめると良いでしょう。
「視覚的」「具体的」「肯定的」「段階的」に環境をわかりやすく整えることを構造化と呼びます。状況を理解するのが苦手だったり混乱しやすいタイプの人にはおすすめです。
トレーニングというよりは、苦手な部分は便利なアイテムに賢く頼ろう!という考え方です
ICT活用を進めている『魔法のプロジェクト』のサイトで便利なアプリが沢山紹介されているので、参考にしてみて下さい。
【参考】魔法のプロジェクト
■「書く」を助けるICT
■「読む」を助けるICT
■「計算する」を助けるICT
■「思い出す」を助けるICT
■「体調管理」を助けるICT
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます