発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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昼間の活動拠点をつくる『日中支援』 放課後等デイサービスのひとつです2017年2月号

  1. 通信制の生徒様や不登校のお子様に TEENSは平日日中に力を入れていきます
  2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 『自閉症は弱みではなく機会だ 英・ガーディアン』他
  3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 『発達障害のある子の高卒後の進学・進路』他

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1. 通信制の生徒様や不登校のお子様に TEENSは平日日中に力を入れていきます

 TEENSは放課後等デイサービスでありながら、平日日中(10時30分~14時)もご利用頂けます。つまり通学後の夕方にご利用になれるだけではなく、平日日中に居場所や勉強の場、社会スキルを向上する機会がないお子様にもご活用いただけます。新年度からTEENSではこの平日日中の利用枠を拡大。すべての事業所でより困り感のあるお子様の支援に力を入れてきたいと考えています。

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2. 海外メディア 発達障害児関連の注目ニュース 『自閉症は弱みではなく機会だ 英・ガーディアン』他

 このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害*に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『①自閉症は弱みではなく機会だ 英・ガーディアン』、『②低所得の家庭の子ども ADHDのリスクが高い』の2本です。

①自閉症は弱みではなく機会だ 英・ガーディアン

‘I saw being autistic as an opportunity, not a weakness’ – UK Guardian

 イギリスでPRスタッフとして表彰を受けた22歳の男性の話です。自閉症スペクトラムという診断を受けたことをオープンにしながら働き、政府のコンサルタントとして障害施策にも意見を発信しているそうです。

 このような当事者の紹介は内外様々なメディアで行われていますが、今回記事としてご紹介したのは「自閉症スペクトラムの人はITに優れているという先入観を打ち砕きたい」という男性の主張です。彼自身、一般的には自閉症スペクトラムには合っていないと思われる広報の仕事で活躍しています。自閉症スペクトラムの適職をIT業界に限定して話をすることは、「問題解決能力、集中力、一つのことへのこだわり、時間通り」などの職場で評価を受ける他の自閉症スペクトラムの良さを十分に伝えることにならない可能性があるからだそうです。  なお、記事の中で政府・議会と関係を深めることについて、議員の中にも自閉症スペクトラムの診断がある子どもを持つ議員もいるし、そもそも本人がそうであることもあるので、という一文がありました。実際に診断を受けている人が英国議会にいるのかは記事からはわかりません。発達障害の適職としてITなどごく一部の業界や職種だけが考えられるべきではないという視点は、教育、家庭、福祉の現場で大切にしたいものです。

②低所得の家庭の子ども ADHDのリスクが高い 韓・コリア・タイムス

Children of low-income families vulnerable to ADHD – Korea Times

 韓国からの話題です。家庭の所得の多寡で4つのグループに分けて、ADHDの子どもを調査したところ、所得が低いグループではADHDの発症が1.7倍だったということです。なお、発症と訳しましたが記事では develop (症状が発展する)という単語を使っていますので、低所得の人のほうがADHDになりやすいというよりも、社会に適応するような支援や教育が足りない可能性があるというふうに受け止めるべきでしょう。

 ただし、過去のニュースレターでも触れましたが、発達障害は同じ学年でも遅い生まれのほうが(日本ですと1~3月生まれの子のほうが)診断されやすいという研究もあり、生まれのタイミングや家庭環境でADHDのように見えてしまっていることも多いと思います。  診断が大事なのではなく、あくまで子どもの”特徴”がどの程度先天的なものか、修正可能なものかを知る上でADHDという観念を知ったほうが良いと思います。世界的に今後ますます所得格差が広がると言われています。低所得の家庭へ最新の支援法などが届くように(医療や福祉上の情報格差が拡大しないように)動いていくことは福祉業界で働く立場として常に意識しないといけないと思いました。

3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 『発達障害のある子の高卒後の進学・進路』他

 ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。

発達障害のある子の高卒後の進学・進路

Q1. 発達障害のある子の高校卒業後の進路について知りたいです。

A. 発達障害の傾向のあるお子さんの進路は、他のお子さんよりも複雑な部分もあります。例えば以下の【参考】であげた記事にある通り、大都市圏に住んでいるか、知的水準がどの程度か、進学することによって月給UPが見込めるか、が重要であり、何よりも本人がどのような人生を望むのかによって左右されると思います。一方で苦手なことがいくつもある場合は選べる道が限られており、他のお子さんよりもかえってシンプルに意思決定しやすいこともあると思います。いずれにせよお子さんが大きくなってから考えるとどうしても発達障害のこだわりが悪く出て、明らかにご本人に不利な状況に(しかしご本人の意思で)進んでしまうとも限りません。早いうちから親子でどのような進路進学があるのか、ぜひ話し合っていただきたいと思います。昨年当社が監修して本も出ていますので、ぜひ参考にされてください。

ムラの大きな子の高校選び

Q2. 学校での学習成績が体調や気分で上がり下がりします。高校は通信制一択?本人は「 一般的な高校生活」に強く憧れています。

A. これも前問にある「親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ方」に記載がありますが、高校になると発達障害の傾向のあるお子さんの選択肢は一気に広がります。公立私立の普通高校、単位制(定時制)高校、公立のチャレンジ校、私立の通信制高校、同じく私立のサポート校、高等養護学校、特別支援学校高等部、などです。この内はじめの3つの選択肢はいずれも”普通っぽい”学生生活が送りやすいと思います。特に単位制の高校やチャレンジ校と言われるような学校がお近くにありましたらぜひ学校見学をしたり、実際通われている方にお話を聞かれるのをおすすめします。ご質問のお子様については、ご質問の文章の限られた中では断定的なことはもちろんいえませんが、単位制の学校やチャレンジ校などをまず検討されるとよいかと思います。自分のペースで勉強できる環境で、かつ多くの高校生に近い環境であると思われるからです。

学習支援か生活支援か

Q3. 今までソーシャルスキルなどお友達と上手くやっていくことを最重要に考えていましたが中学入学するにあたり勉強がついていくのが厳しいことが気になりました。

A. 当社でも議論に上がるところです。勉強はある程度でよく、ご本人の特徴を理解してあげたほうが良いか、それともやはり子どもの自尊心は勉学の出来不出来で影響を受けるので勉強を出来る限りフォローしてあげたほうが良いか、という神学論争のようなものです。支援の方向性は年齢やご本人の特性によってソーシャルスキルか学力かのバランスを変えていけたら理想でしょう。が、勉強も見ながら、生活力もあげて、という同時並行は発達障害の傾向のあるお子さんだとなかなかうまくいかないものです。中学入学を前に学力が伸びるかどうかは、ご本人の知的水準や勉強の好き嫌い、ルール通りに行うタイプか否か、そして学習障害*的な凸凹がどの程度か、といった要素があります。もしかしたら今から方向転換をして勉強はできるようになるかもしれませんし、今からだとやや難しいところもあるかもしれません。ご本人の意志が何より重要ですし、実際働く時は小学校程度の読み書き算盤ができていれば全く問題ない仕事もたくさんありますので、何のために学力を高めたいのか、まず親御様がご自身の中ではっきりと理解されることが必要だと思います。

早期発見・療育

Q4. 息子が、発達障害傾向にあります。病院で診断されたわけではありませんが、市の施設でWISCを受け、そう言われております。早期の対処が息子にとって必要と言われており、私達夫婦もそれを感じているのですが、具体的に何から始めればいいのか分からず、不安と苛立ちと葛藤を漠然と抱えながら生活しております。息子も学年が上がるにつれ、友達関係、学習面で人と違うことを感じ始め、ただ自分でもどうしていいのか分からず、困っている様子です。そもそもTEENSがそのような私達が求めている場所なのか分かりませんが、右も左も分からず何から始めればいいのか分からないので、説明会に参加させて頂きたいと思います。

A. 年齢がわかりませんが、小学校3,4年の男児でしょうか?市の施設でWISCを受けて、それなりにはっきり伝えられた状態のようですので、たしかに早いうちに医療につながり、また療育施設につながると良いと思います。その2つがまず手始めに行うことだと思いますし、その2つの機関が次に何をすればよいか、現状を親としてどう受け止めるべきかを教えてくれるとも思います。診断の前後で、我が子が何が変わるわけでもなく、ただ単にその子への見方が一つ加わるということです。子どもをより理解しやすくなる視点だと思いますし、上手にその視点を活用できればご本人にとっても生きやすくなるはずです。すでにTEENSにはご予約いただいたということですが、医療についても早めに連絡されると良いでしょう。

 

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

*学習障害は現在、DSM-5では限局性学習症/Specific Learning Disability、ICD-11では発達性学習症/Developmental Learning Disorderと言われます

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