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特定非営利活動法人きらきら が運営する岐阜市の放課後等デイサービス ”いろえんぴつ” が当社パートナーシップの団体に加わりました。TEENSのお仕事体験のプログラムをこの冬から提供する予定です。
地域パートナーシップ制度は当社の大人向けの職業訓練や子ども向けのお仕事体験、またその運営方法を地域の福祉事業所にご活用いただくものです。当社の直営店だけでは提供できない地域の人にも少しでもプラスになればと考えています。制度や内容については以下のリンク先をご参照ください。
このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害*に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『①ロージー・オドネルがトランプ次期アメリカ大統領の息子バロン君が自閉症ではないかとTwitterで投稿し非難される』、『②自閉症スペクトラムと共に、キャンパスライフの道のり』の2本です。
Rosie O’Donnell Slammed for Suggesting That Barron Trump Is Autistic
11月のアメリカ大統領選挙ではマスメディアの予想を裏切り共和党候補のドナルド・トランプが劇的な勝利を収めましたが、選挙戦中いつもトランプの側にいた彼の10歳の息子のバロン君もメディアではおなじみの顔になりました。そんな中、バロン君が自閉症なのではないかとコメディエンヌのロージー・オドネルがTwitterで発言し、大きな波紋を呼んでいます。
バロン君の討論会や共和党全国大会、指名受諾演説での映像をつなぎ合わせ、彼の振る舞いには自閉症の兆候があると指摘した7分間の動画をジェームズ・ハンターという人物がYouTubeにアップしたのが事のきっかけです。その後ロージー・オドネルがTwitterでこの動画を「バロンは自閉症?もしそうなら自閉症が増えていることに皆の注目を集める素晴らしい機会ね」とキャプションをつけてツイートしたことで「炎上」しました。バロン君が障害を持っているかもしれないと不用意に表明し世間の注目を集めたことにTwitterユーザーから批判が殺到しました。
オドネルとトランプは長年メディアを通して批判(中傷?)合戦を繰り返していた背景もあり、バロン君に悪意を持った発言と多くの人が捉えたようですが、オドネル本人はそのような意図はないと否定しています。動画制作者であるハンターは自閉症スペクトラム当事者、オドネルは3歳半の娘が今年の9月に高機能自閉症と診断されたということで、元々は自閉症に対するアウェアネスを高めたいという思いがあっての投稿だったようですが、裏目に出る結果となりました。バロン君の母親であり次期ファーストレディのメラニア・トランプは弁護士を通じて、動画の内容は事実ではなくこれはいじめ行為に当たるとの声明を発表し、ハンターは謝罪の上動画を削除しました。
このような形で自閉症について注目が集まったことは残念でもありますが、メディア上でオープンに批判や謝罪が行われスピーディに動画の削除まで進むのがアメリカらしいと感じたニュースでした。
Along the Autism Spectrum, a Path Through Campus Life
ニューヨーク・タイムズにアメリカの4年制大学における自閉症スペクトラムのある人向け支援プログラムの生き生きとしたレポート記事が掲載されていましたのでご紹介します。
1990年代から自閉症と診断される子供の割合が急激に増加し、また診断を受けた子供に対して幼児期からの早期療育やインクルージョンの試みがなされてきたこともあり、自閉症の診断がある大学生の「最初の世代」がアメリカの大学でも広がりを見せ始めています。1つ前の世代では想像すらできなかった大学入学というチャンスを手にした一方で、自閉症のある人が大学生活をうまく送ることはまだまだ困難であり、支援なしでは多くの学生が卒業できないことに大学が気付き始めました。現在アメリカ国内で40余りの大学が自閉症のある学生向けの包括的な支援プログラムを提供し始めたということです。
今回紹介されているのは Western Kentucky University の Kelly Autism Programです。①寮の個室利用②実行機能スキルグループセッションやチューター③メンターとのグループミーティング④キャンパス内外でのソーシャルスキル学習⑤カウンセリングの5つから構成されており、週4日・1日3時間のプログラムに45人の学部生が参加しています。プログラム利用には1学期で1人あたり5,000ドルの費用がかかりますが、大部分が連邦政府の職業リハビリテーション基金から支払われるるそうです。大学のウェブサイトに1学期あたりの利用料は標準のプログラムで300ドルと掲載されています。学費にプラスしてプログラム参加費を支払わなければならない学生(と親御さん)にとっては良心的なシステムではないでしょうか。
記事で印象的だったのは、カウンセラーが学内で寮長や教授・キャリアセンターと連携を取りながら誤解が起きた時の調整を行っているという点です。日常生活や学業、就職活動など大学生活でつまづきやすいポイントは多岐に渡る中、このように本人をよく知っている支援者がコーディネーター的役割を担うことで、包括的な支援が可能になっているのがこのプログラムのポイントだと感じました。
ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。
Q1. 計画的に物事を進めることができない息子は、わかっていても試験勉強や課題に取り掛かることがギリギリまでできず、その結果成績が悪かったり提出に間に合わなかった時には、暴れたり衝動的に自傷行為を行うことがあります。こうした行為を起こさぬよう事前に注意や声かけをすることもあるのですが、うるさいと怒り出してしまう為どう接してあげたらいいのかわかりません。自分自身ですべき事を気にかけるように促すには、親はどう接するべきでしょうか。
A. 試験勉強にとりかからない(とりかかれない)理由から考えるとよいと思います。単純に面倒くさがっているというだけでなく、自立的に取り組むのが難しいという可能性はないでしょうか? 成績が悪いと暴れだすというところからも失敗体験への恐怖心、自尊心の低さが窺えますので、「どうしたらいいか分からない、助けて」とも言い出せず、困り果てているようにも見えます。一緒に計画をたてて見守り・アドバイスをしてくれる第三者の大人に繋いであげられるのが理想的です。なお、そもそものハードルを調整したり自尊心を高める必要もありそうです。まずは単なる対症療法にならないよう、ご本人の行動の意味を専門機関に相談してみてください。
Q2. 来年、小学校入学の年長です。今通っている療育にて視覚認知が弱く、入学してから板書に苦労すると言われており心配しております。
A. 板書、みんな苦労してますね。最近は学校でカメラやタブレットの使用などが認められている例も増えてきていますが、まだまだごく一部の話だと思います。そこまではできないとしても、事前に先生にご本人の特性をお伝えした上で席を前の方にしてもらう、完璧に書けていなくても許容してもらう、などの相談をしておけるとよいでしょう。学校側に理解してもらうのと同時に、ご本人に処世術を覚えてもうらうことも重要です。書きとれなかった部分は後で先生に質問するなど、自分で解決するためのスキルを身につけられるとよいでしょう。なお、「一生懸命ノートはとったけど、先生の話は全然聞けなかった」なんて話もよく聞きますので、板書をとることだけが目的にならないよう気をつけてください。
Q3. 下の娘はADHDの可能性があります。学習支援のクラスは個別指導になりますか?
A. TEENSの学習支援は、個別指導に近い少人数制の指導です。つまり一斉授業があるような塾ではないですし、個別指導だけの家庭教師のようなイメージでもないですが、公文式に近い方式で自習の場所と、先生に聞きに行ける場所、が合わさっているようなイメージです。これに休憩時間などに行われる、ややかしこまって言うと社会性を上げるようなゲームも組み合わさって平日の学習支援と呼んでいます。教材はおおむねご家庭から持込でお願いしていますが、今学習障害*に関するアセスメントや問題集を作り始めている段階です。公文には程遠いですが、教材の面でも当社でご用意できる部分が広がればよいと思っています。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
*学習障害は現在、DSM-5では限局性学習症/Specific Learning Disability、ICD-11では発達性学習症/Developmental Learning Disorderと言われます