学校が再開しましたね。TEENS生では「待ってました!」と言わんばかりの子もいれば、ちょっと憂鬱…という子もいます。
ちょっと憂鬱…の事情はさまざまですが、そのひとつにコロナ禍特有の事情が絡んでいる子も多いです。
マスクがつけられなくて白い目で見られる…手が洗えなくて友だちから馬鹿にされた…など。
こちらのニュースレターを購読いただいている方でしたらよくよくご存知であろう『感覚過敏』。世間的には、なかなか広まっておらず、社会的な認知度をあげていく必要があります。
まずは身近な人から、可能であればお子さん自身が説明をして、自己理解とセルフアドボカシー(事故権利擁護)の力を高めていかれると理想的ですね。ぜひこちらの図表をご活用ください。
緊張緩和のための別室の試験対応や、履修のサポートなど…障害のある学生が修学のための適切なサポートをうける『合理的配慮』。障害者差別禁止法の施行から4年、大学での合理的配慮についてJASSO(日本学生支援機構)が調査結果を発表しました。
(参考)障害のある学生への修学支援における学生本人による効果評価に関する調査研究
243名に調査したこちらの研究では、『申し出通りの支援が提供(84.9%)』、『申し出とは異なる支援が提供(2.7%)』、『申し出てはいないが支援が提供(10.5%)』、『申し出たものの支援は不提供(1.5%)』と、障害学生へのサポートの必要性が浸透してきていることが伺えます。
勉強はしたいけれど学生生活を無事に送れるか心配…という方は、諦めずに一度志望の大学でどのようなサポートを受けられるか相談してみてください。その行動自体が、更なる支援の輪を広げるきっかけになるかもしれません。
また、併せて受験時の合理的配慮の準備も大切です。こちらを受けるには医師の所見や学校で行ってきた支援の実績など、配慮の必要性を客観的に示す必要があります。受験直前に焦らないよう、今から準備をしていきましょう。
【図表でわかる!】受験時に受けられる合理的配慮の事例をご紹介
お寄せいただいた質問にお答えします。
Q. 高校生です。卒業後は働きたいと本人は思っているようですが、親から見ると精神的にも能力的にもまだトレーニングが必要です。どのような関りが必要でしょうか。
キーワードは『納得感のある進路選択』ですね。
まず…高校卒業後のこと、自分の意見をもてているのがまずとっても素晴らしいです。
これまでの人生で自分で決断する機会がないままの場合、進路の希望を聞かれてもなかなか答えられません。要所要所で親御さんはじめ周囲の人たちが自己決定をサポートされてきた結果だと思います。とてもステキ!
とはいえ、「働けるかどうか」をお子さんだけで判断するのはなかなか大変ですよね。
一口に”働く”といっても色々な形態がありますし、サポートを受けながら働き始めるという手段ももちろんあるかとは思います。
一方で、「働く」選択肢、それ以外の選択肢についてよく知った上での判断でなければ、確かに今一度考える機会を持ったほうが良さそうです。特に、まだ精神的に幼いということですので、就労準備性が整うまでゆっくり時間をかけるのは決して悪いことではなさそうです。
なので、まずご本人の希望の背景を一緒に探っていきましょう。
仮に「勉強はもうしたくないから」という思いから、消去法的に就職を考えているのであれば、働く準備をするための時間にするのも悪くありません。一般校だと情報が入りにくいかもしれませんが、生活訓練や就労移行支援など、福祉のリソースを活用することもおススメです。
また、就労に対して明確な希望があるのであれば、実は高卒後の就職ではなく準備期間を経てからの方がよい可能性があります。
大人が正解らしきものを押し付けるのではなく、お子さんが情報を獲得しながら、比べて、決断していくプロセスがとてもとても大切です。
(今回ご相談いただいたご家族はまったく心配なさそうですが)「うちの子は自分で自分の将来のこと考えるなんてムリ!」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
とはいえ思春期の子と親が対話をするのはなかなか難しいので…考える機会を、決める機会を奪うことのないよう、メンターの役割を担える人を家族以外に見つけていきましょう。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます