“発達障害*”にまつわる情報を3分程度で読める文章と1枚の図表にまとめてお届けします。
今回は「発達障害 × 偏食」についてご紹介します。
少し古い調査ですが、110人のASD児を調査したところ、半数以上が偏食を示したという研究結果があります。実際、多くの発達障害のお子さんや大人の方と接していても、通常の好き嫌いの範囲ではおさまらないような偏食傾向の強い方は多くいます。
では、どうして偏食が起きるのでしょうか?代表的なふたつの理由をご紹介します。
以下、一例をあげます。
感覚の鋭さ故に、通常の人には感じられない敏感さ・繊細さが強い方は偏食になりやすい傾向があります。
「初めて見る食材・料理は食べられない」「赤い食べ物は気持ちが悪い」など想像の特異性からくる”こだわり”から生理的に食べられない方もいます。
こちらの理由は感覚過敏よりも理解されづらく、単なる思い込み・わがままと捉えられてしまう場合がありますが、それは間違いです。
例えば、昆虫食が苦手な方をイメージしてみてください。昆虫を食べるということに関して苦手な方も多いと思いますが、それは果たして「思い込み・わがまま」でしょうか?生理的に受け付けられるかどうかは、個人によって異なるという考え方が一般的かと思います。
ASDの方のこだわりは「病気」ではなく、個人とって大事な価値観・慣習だということを理解しましょう。
偏食に関して、子どものうちはご本人以上に周囲の大人がどのように対応していくかが重要になるでしょう。
バランスよく栄養をとってほしい、食べ物を粗末にしてほしくない…。真剣に子育てをしているからこそ、偏食に対して不安を感じている親御さんは多いはずです。
しかし、偏食は食品アレルギー同様、体質の問題であることも多く、無理して食べると拒絶反応から嘔吐をしたり、トラウマになって食事自体の嫌悪感が増すリスクもあります。
満点の栄養バランスを目指す必要はありません。お子さんの偏食で悩んだときには、まず「本当にその食材・料理を食べられないとダメなのか?別の方法で解決できないか?」を見つめなおしてみましょう。
一方で、感覚の過敏さやこだわりは年齢とともに和らいでいく方も多いです。偏食が起きている理由を探って、触感の問題であれば切り方を変えてみたり、未知のモノへの恐怖心であれば一緒に調理をしてみたり…、ご本人が興味をもって「試してみようかな?」と思えるような働きかけができると良いでしょう。
参考:発達障害を有する子どもの「食」の困難に関する実証的研究―発達障害の本人・当事者のニーズ調査から―
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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます