発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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モノづくり系お仕事体験『こしょこしょTEENS』

2016年4月2日

TEENS新宿の齋藤です。
本日はお仕事体験一般コースのプログラム『こしょこしょTEENS』について、ご紹介したいと思います。

ご紹介といっておいてなんですが、『こしょこしょTEENS』は先日最終回を迎えました。というのも、『こしょこしょTEENS』は平日のみ実施のプログラムでしたが、平日のお仕事体験そのものが3月末で終了となったためです(4月以降、お仕事体験は土日のみの実施しています)。

残念ながら終わってしまった『こしょこしょTEENS』ですが、私は12月からセッションの進行役を担当させていただき、4か月間、お子さんたちがぐんぐん成長していくのを見て、たくさんの気づきをもらいました。そこで今回は、『こしょこしょTEENS』を通じたお子さんたちの成長について、ぜひご紹介したいと思います。

『こしょこしょTEENS』とは

以前のブログでもご紹介している通り、お仕事体験一般コースは様々な職種を体験しながら、「はたらく力」を身につけていってもらうことを目標としています。

その中で、『こしょこしょTEENS』は、古書(こしょ)店店員として店頭用POPの作成を体験するプログラムです。実際の本を題材に、「販売のターゲットを考える」ところからスタートし、「ターゲットに響くキャッチコピーやデザインを考え」、「実際にPOPを制作する」ところまで、一通りの流れを体験することができます。

TEENS新宿の廊下。これまでに作ったPOPたちが掲示されています。

「モノづくり」を通じてチームワークを体験できる

数あるお仕事体験プログラムのなかで、『こしょこしょTEENS』ならではのポイントといえば、「モノづくり」の要素が大きいことかと思います。

POP制作には、「絵や文字を描く」、「画像をネットで検索する」、「Wordでキャッチコピーを入力する」、「それらを切り貼りする」といった作業が必要です。アイデアを具体的な形にするために、様々な作業を分担しないとならないため、お子さん同士のやり取りを自然に促しやすいプログラムと言えるかと思います。

作業を通して、それぞれの個性も浮かび上がってきます。「アイデア出しが得意」、「絵を描くのが好き」、「Wordでの文字デザインが上手」、「画像検索のスピードなら任せて!」、など、各自の力を活かしながら制作が進んでいきます。

お客様目線を考える訓練

デザイン的な要素があって楽しんで取り組める一方で、『こしょこしょTEENS』は「モノづくり体験」ではなくあくまで「お仕事体験」なので、単純に自分の好きなデザインにすればいいわけではありません。

POPづくりの最大の目的は「本を売ること」。店長役のスタッフからは、「その本のことを何も知らない人に魅力が伝わるかな?」と繰り返し問われます。「客観視が苦手」と言われる発達障害のお子さんたちですが、「お客様はどう思うか」繰り返し尋ねられることで、次第に他者目線を意識した発言が増えていく様子も見られます。

それぞれのペースで一歩ずつ成長する

直面している課題はお子さんによって異なりますが、目の前の課題を一つずつ乗り越えていくのは皆同じです。

サポート役は得意だけど、皆の前で話すのが苦手だったYさん。リーダー役を体験することで徐々に人前で話すことにも慣れていき、最終的には自らリーダーに立候補し、意見を上手にとりまとめられるまでになりました。

積極性はあるけれど、メンバーに相談せずに一人で進めてしまいがちだったT君。話し合いの方を学び、繰り返し練習することで、「僕はこう思いますが、みなさんどう思いますか?」と相談しながら作業を進められるようになりました。

私が接したのはほんの4ヶ月ですが、それぞれのペースで着実に成長していくお子さんたちの姿に、日々刺激をもらいます。

安心して失敗できる

成長する姿を見せるお子さんたちですが、いつも順調に仕事が進むわけではありません。うまくいかないことも多々ありますが、そういう時こそ成長のチャンスが潜んでいたりもします。

ある時、残りの作業時間はあとわずか、POPは完成間近といったタイミングで、下書き線を消していたところ、誤ってPOPを破ってしまう出来事がありました。失敗してしまったメンバーは、驚いて固まってしまい、周りの皆も黙っています。店長から「そういう時どうするんだっけ?」と尋ねられると、当人は「すみません」とすぐに謝り、周囲のお子さんたちも「ちょっとだけだから大丈夫だよ」、「裏をテープで止めればいいんじゃない?」など、声がけしながら完成させることができました。

働いたことがある人ならわかると思いますが、仕事ではどんなに気をつけてもミスを完全になくすことはできないですよね。大切なのは、「ミスした時にどう対応するか」ですが、実際の職場で失敗の練習をするのは難しいものです。安心して失敗し成長できるのも、お仕事体験の魅力の一つだと感じます。

ありがとう!そしてさようなら

新宿の『こしょこしょTEENS』メンバーは4月から就職するお子さんが多く、最後のセッションでは、「明後日からいよいよ仕事です。周りの人に質問しながら頑張ります!」とTEENSを旅立っていくお子さんも見送りました。

社会人になるお子さんも、まだ在学生のお子さんも、『こしょこしょTEENS』で学んだ経験を実際の職場や学校生活で活かし、活躍してくれることを心からお祈りしています!

電車好きのお子さんが、列車のヘッドマーク
(列車の先頭に掲げる飾り看板)になぞらえて作ってきてくれました。

 

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