発達障害*のある子どもたちでは、思春期の年代にイライラしやすくなったり、無気力になったり、二次障害といわれる心身の不調をきたすなど、周囲が心配になるような状況が見られることが少なくありません。
本記事では、2024年2月14日に行われたKaien特別セミナー「医師に聞く【発達障害と思春期】 」にて、筑波大学名誉教授・筑波総合クリニック医師である宮本信也先生にお話しいただいた内容を紹介しています。
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思春期の年代になると、様々な心・体の変化が現れます。一方で、思春期の心の変化は発達障害の特性と混同されがちです。まずは宮本先生に思春期の心にどのような特徴があるのか解説していただきました。
思春期心性とは、発達障害の有無にかかわらず、思春期の子どもにみられる一般的な特徴のことを言います。
例えば、
これらの背景により、気分の落ち込みや白黒思考、反抗的な態度、イライラ、暴言などの思春期に特徴的な行動が現れます。発達障害の診断を受けていると特性と混同されてしまいがちですが、一般的な思春期年代に多く起きる変化です。
実は思春期の子どもたちは、自分自身でも理不尽なこと・本当は違うことを言っていることに気づいており、そこを指摘されるとより反抗的な態度をとってしまいます。そのため、基本的には見守りつつ、傾聴・理解的な対応をすることがポイントです。
思春期の子どもにみられる一般的な特徴として思春期心性をご紹介しましたが、発達障害が背景にあることで、思春期心性の特徴が通常よりも強く出てしまうことがあります。
また、発達障害の二次障害を発症し、治療が必要になる場合もあります。これらには薬物療法のほか、環境調整や生活指導、心理療法、認知行動療法などの治療が行われます。
思春期の年代になると、発達障害のある子どもたちは少しずつ他者との違いに気づき始めます。インターネットで調べる中で「自分って発達障害かもしれない」と考える子どもも少なくありません。しかし実際に自分にどのような発達障害の特性がありどう対処すればいいのか、自分一人で理解し受け入れることは困難です。
以前からどのように「告知」するのかが問題視されてきました。しかしここでは告知ではなく「心理教育」という考え方をご紹介します。
「心理教育」は医療の領域で「疾病教育」ともいわれ、元は病気の原因・症状・治療・その結果・今後の変化などを説明することで、患者が前向きに治療に取り組めるようになることを目的にしています。
発達障害においても、「あなたはASDですよ」とただ伝えるのではなく、対処法などもセットで伝えることが重要です。
特に発達障害のある子どもたちにおいて、不安定な思春期の時期を乗り越えて穏やかに18歳を迎えるためには、家族以外の大人によるかかわりが重要です。
このような経験を繰り返していく中で、子どもたちは「自分が社会から受け入れられている」と感じ、二次障害などの予防につながります。
ティーンズでも発達障害のある思春期年代が多く通う放課後等デイサービスとして、しっかりと子どもたちの考えを受け止め、健やかな心の成長を支えていきたいと考えております。
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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます