発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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中学生の発達障害 |特徴と支援のポイントを解説

ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー)、ADHD(注意欠如多動性障害)、LD(学習障害)など発達障害のある中学生のつまづきポイントや、活かせる強み、支援・教育の際に心掛けるべきことをお伝えします。

思春期に入り、 身体的にも精神的にも成長する中学生の子どもたちは、アイデンティティの確立、つまり”自分はこのような存在である”という感覚を持つようになり、周りの人との違いを認識し始めます。大人との関係よりも、友人関係を大切にするようになるなど、他者との関わり方・距離感にも変化が生じてきます。

発達障害のある子どもたちの場合、周囲との”ズレ”を感じ悩みを抱えるタイプの子もいれば、まだまだ自己理解や他者視点が弱く(別の言い方をすると鈍感力が強く)マイペースを貫くタイプの子もいます。前者の場合は自尊心を損なわないように、後者の場合は将来ご本人が抱えるであろう困り感に向き合えるような力を育んでいけるようなに働きかけていかれるとよいでしょう。

また、周囲の大人の方には、適度な”ズルさ”を教えてあげることを恐れないでほしいです。中学生になり、定型発達の要領よく立ち振る舞うことを覚えていきますが、発達障害*の子の場合、暗黙の了解を自然と理解していくのは難しく、ルールを徹底しようとしてがんじがらめになりやすいです。時にはルールよりも優先すべきものがあることを伝えながら、上手な肩の力の抜き方を教えてあげてください。

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中学生の発達障害 困り感チェックリスト

こちらでは、中学生年齢(13~15歳)の発達の特徴と、発達障害の子どもたちが学校で感じやすい困り感をまとめました。

【参考】文科省 各発達段階における子どもの成育をめぐる課題

生活面

身だしなみに無頓着で、制服のシャツはみ出していたり、汗をかいても自分で気がついて拭く等の適切な対処ができない。

ひとりでいることが好きで、他人と交流することが苦手である。中学に入ると学校行事などの協調性を求められる活動が増えるが、それらを苦痛に感じる。

定期テストや高校受験など、目標に向けて計画的に行動することが苦手で大人のフォローが必要。

先生からの説明や指示を覚えていられず、定期テストの範囲などの大事な情報を聞き漏らしてしまう。

パソコンやゲームの使用にあたって理性的に行動することが難しい。無断で課金してしまったり、際限なくゲームに興じてしまう。

学習面

単純な計算問題についてはやり方をマスターすれば比較的点数を取ることができるが、マイナスの概念は理解が難しく、中学数学は正負の数でつまづく。

数学の文章問題が特に苦手で、何を求めればいいのかを読み取ることが難しかったり、計算の手順を組み立てられなかったりする。

テストの解答がわかっていても、名前を書き忘れたり、回答欄がずれていたり、記号で書くべきところに具体的な答えを書いうなど、うっかりミスが多い。

中学生の発達障害 強みチェックリスト

ここまでは発達障害の子どもたちが困り感を覚えやすい事がらについてリストアップしてきましたが、そういった特性は強みとして作用することもたくさんあります。

ご本人の困り感を見逃さないようにするためにつまづきやすいポイントを理解しておくことは非常に重要ですが、子どもたちの特性を強みとして伸ばしていくために、「どういった場面でその力が発揮されるのか」という視点も忘れないようにしましょう。以下一例を載せておきます。

☑他人への興味が薄い⇒マイペース。独自の世界をもっており人に流されずに行動することができる。

☑空気が読めない⇒小学生に比べると授業や行事で消極的な態度な子が増える中、積極的に発信することができる。

☑多動⇒活発で活動的。エネルギーが溢れているので学校のイベントなどで目立って活躍する。

☑融通のきかなさ⇒ルール意識が強く、校則を徹底するなど大人が見ていない場面でもルールを守ろうとする。

☑勝ち負けにこだわり過ぎる⇒勝負ごとに対して本気で取り組むことができる。体育祭や部活動など、真剣に取り組むためチームの熱量をあげることができる。

☑自分の興味があることを一方的に話す⇒しゃべることが苦手で聞き上手なタイプのお子さんとは馬が合いやすい。

中学生の発達障害  支援・教育のためのポイント

中学生の発達障害の子の支援、教育をするにあたって、”その子の困り感の原因は何にあるのか”、”機能改善の可能性があるか?道具の活用や環境調整に注力すべきか?”ということを判断していく必要があります。

例えば、LD(学習障害)のお子さんで、字を書くことが苦手なお子さんがいたとします。この子は「字を書くことが苦手な障害」なわけではありません。根本的には、見た情報を正しく捉える能力(視覚機能)やペンを握って動かす能力(運動機能)に障害があり、そういった能力が求めらる活動に苦手感がでやすくなります。

幼児期~児童期にかけては、ビジョントレーニングや作業療法を通して「機能の向上」を目指すことが多いでしょう。もちろん中学生以降もそういったトレーニングに期待をすることもできますが、生活や勉学の中で求められるスキルがより高度になること、また機能の向上・改善も児童期までと比較すると期待しにくくなることもまた事実です。今回の例で言えば、タイピングのような代替手段を用意するなど、弱みに直接的にアプローチするのではなく道具の活用や環境調整に注力する、という方法を効果的にとりいれていかれるとよいでしょう。

【参考】発達障がい児のためのサポートツール・データベース(全国LD親の会)

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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