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当社著作本 好評発売中
お子様の将来への漠然とした不安をクリアにしていくKaienペアトレ 第3期までは満員。現在11月~来年2月開催予定の4期生を募集しています。講座の後、同年代のお子様をもつ保護者同士で横の繋がりをつくる機会もあります。 進学・進路に関する最先端の情報に触れ、知る・考える機会としてご活用ください。
このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『空港の感覚過敏ルーム 自閉症の子どもに人気』、『学校から弾かれて…ボクシングがADHDのティンエイジャーを助ける』の2本です。
Airport ‘sensory room’ helps kids with autism adjust to flying – New York Post
夏休みで旅行や移動の多い時期になりました。アメリカの記事で空港に自閉症や感覚過敏の子ども向けの部屋がオープンしたという記事です。自分の子どもが自閉症のスタッフが考案したとのことです。登場前に慣れるため機内そっくりの椅子や空間になっているだけではなく、防音対策もバッチリだとのことです。
専門医によると発達障害の人で感覚過敏によって日常生活がおくれないというのは数%ほどに過ぎない友いわれます。実際に支援の現場で接していても、感覚のズレは本人のストレス度合いや体調のバロメーターで、生活が上手く行っているときや集中ができているときは感覚過敏も見られなくなりますが、調子が悪いときやイライラしているときは感覚過敏が高まる印象があります。このような設備が少しずつ増えると安心して旅を楽しめると思いますし、発達障害ではなくてもこういう静かな空間はほしいと思う人も多そうです。
Excluded from school: How boxing helps teenagers with ADHD – BBC
ボクシングは先日もプロの試合で試合直後に亡くなる選手がいるなど死と隣り合わせの危険もあります。一方でイギリスBBCの取材によると、イギリスのウェールズ地方では、ボクシングをADHDの子どもたちのいらいらや集中力の保持に役立てるだけではなく、自尊心の高まりにも役立てているとのこと。学校から爪弾きにされた子どもたちが怒りや感情のコントロールを学びながら成長していることを丁寧に捉えた好記事です。
当社も、発達障害の人の支援は必ずしも支援機関で行うものではなく、むしろ一般の生活の場で体験しながら学びながら支援を受けることが重要だと思っています。例えば今回の例のようにボクシングかもしれませんし、サッカーかもしれませんし、ゲーム大会のバカもしれませんし、絵画サークルかもしれません。いろいろな場に、少しでも良いので発達障害に理解のある人がいると、その場でナチュラルサポートが受けられる。そしてそこでの体験を、当社のような福祉施設や医療施設など専門機関で振り返って、より良い行動に役立てていくというのが理想です。
ちなみにそういった「現場」と「支援」をつなぐのが、当社が始めた保育所等訪問支援です。まだ学校だけですが、支援機関の中での支援ではなく、現場での支援を当社も増やしていきたいと思っています。
参考)TEENS訪問支援 | 発達障害の子どもたちのための合理的配慮サポート
ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。
Q1. 中学三年生です。教育センターで臨床心理士に相談したところwisc-IVを実施した結果、ASD傾向であるとの事でした。今後の高校受験に向けて大変心配しております。お手伝いいただけるのでしょうか。宜しくお願い致します。
A. 発達障害の子の受験に必要な準備とは?整理していきましょう。
①学校選び:ポイントはご本人が通いたいと思えて、その他の条件(学力、学費、通学時間…)にも無理がないか、です。当たり前に思えるかもしれませんが、発達障害の子の学校選びではなかなかご本人が進路に対して主体的に考えられず結局周りの大人が固めていく…ということがままあります。高校の進路選択は多くの子にとっては初めて選択の自由が与えられた人生の分岐点です。納得感の薄いまま進学をするとご本人の期待と現実にズレが生じやすくなり、そしてそのズレがあると不登校や退学と行ったリスクに繋がりやすくなります。選択肢を用意しながら積極的に学校見学にいくなどして、ご本人が通いたい!と思えるような学校を探しましょう。
②受験準備:スケジュールをたてながら進捗を管理していきます。学科の勉強だけでなく面接準備や、当日まで体調やストレスをどうコントロールしていくかといった土台作りの話も含みます。
③合理的配慮申請:別室受験、試験時間の延長など、必要に応じて受験時の合理的配慮の申請をしましょう。基本的には学校からの申し込みになるので、まず担任の先生に相談することをおすすめします。
TEENSとして何ができるかという意味で言いますと、いわゆる受験のための学習指導はできません。塾などと併用しながら①~③まで筋道を整理するためのサポートをしていきます。思春期にさしかかり、親御さんとのやりとりだとなかなかうまくいかない部分もあると思うので、うまく第三者の力を借りられると理想的ですね。
【参考】発達障害と高校受験 | 受験時の配慮とは?学校選びの方法は?受験前に告知は必要?
Q2. 高校生2年生、ADHDの診断を受けています。毎朝コンサータを服用する必要があるのですが、親が声をかけないと服薬をしません。朝食のとなりにおいており、間違いなく目に入っているのですが無視しています。どうすれば忘れずに服薬できるようになるでしょうか?
A. 自立的な服薬管理、大切ですね。
まず、ご本人は服薬の必要性についてはどのように理解しているのかがポイントです。
例えば、「あなたに必要なものだから毎日飲んでね」とカプセルを手渡されたら、欠かさず飲み続けられるでしょうか?声をかけられれば飲むかもしれませんが、自分にとっての重要度がわかっていなければ忘れてしまうのも無理はありません。その薬にはどういう効果があって、飲まないとどんなリスクがあるのかをご本人自身が理解する必要があるでしょう。
ただし、その際に単純に説明するだけでは「ふーん」で終わってしまう可能性が高いです。普段の生活でどんなことに困るのか、飲んだ時と飲まない時とではどんな違いがあるかなど問いかけながら、ご本人の言葉で“必要性”を形作っていくプロセスを大切にしてください。
なお、ご本人の自己理解が不十分な場合は必要性を自覚しながら行動するのは難しいでしょう。また、自覚があっても「忘れずに飲む」というのが特性上難しいこともあります。そんなときには、タイマーでリマインドする、服薬カレンダーを使う、飲めたときのご褒美を設定する、など自立的に服薬できるようにするための環境設定や行動促進ができるとよいですね。
■19.07.14 発達障害児の子育て 子のストレス・親のストレス | Kaienペアトレ10代以降の発達障害を考える
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます