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TEENSでは、来春に7拠点目となる放課後等デイサービス TEENS関内の開所を予定しています。
12月に開催した2回のご利用説明会は満員になったため、今のところ追加の説明会は予定していません。一方で利用説明会をスキップし、直接体験セッションにお申込み頂くことも可能です。関内希望の方は、横浜・川崎で行われている体験セッションにお申し込みください。
関内での体験セッションは開所1、2カ月後(2018年4月頃)から開始いたしますが、その頃にはすでに利用枠は埋まっていると思われます。このため関内を希望される方も、既存事業所(横浜・川崎)で12・1月に行われる体験セッションのご予約・ご参加をお勧めします。
このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害*に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『①ツイート分析でわかったこと ADHD 1000人規模の調査から』、『②自閉スペクトラム症の人は匂いの感知で混乱!?』の2本です。
What Can Twitter Reveal About People With ADHD? Penn Researchers Provide Answers
米国の名門大学であるペンシルベニア大学(トランプ大統領の出身校でもあります)の研究班が、1000人を超えるADHDの人のツイッターの投稿を分析したという研究結果が出ました。
それによると、「hate(嫌い)」や、「disappointed(がっかり)」というような単語が多く、精神的な波が見えやすかったということです。対象者は自己診断も含むADHDの人とそうでない人。分析は午前0時から午前6時の、多くの人が寝ている時間での投稿とのことです。
少なくとも公開されている分析結果は、ある程度今までのADHD支援の中で言われてきたことだとは言われていますが、医学の専門家でない研究者たち(今回で言うと情報処理や経営の専門家)が調査に乗り出したところに、発達障害についての関心の高まりを感じます。
Autism affects ability to smell fear, finds skydiver sweat study
今月は二つ目も調査結果です。イスラエルの研究機関による調査です。
それによると、人が発する匂いには危険を感じたときに発するものがあるそうなのですが、スカイダイビングで怖がっている人の汗と、そうでない人の汗を嗅いでもらって、反応を探るという、非常にユニークな研究で自閉スペクトラム症の人が対象になっています。
一般的には、怖がっている人の汗を嗅ぐと、嗅いだ人にも怖さがでんぱするそうなのですが、自閉スペクトラム症の人は全く逆の反応を示したということです。記事でも言われています通り、今回は限られた人数での調査で、検証が求められますが(それにしてもスカイダイビングをするというのはどういう発想から出たのでしょうか?)、独特の感覚については今年大きく発達障害の啓発活動に貢献したNHKの特集でも触れられていたところです。今後も多くの研究が出てくるものと思われます。
ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。
Q1. 小学四年生の男子です。アスペルガーの診断を受けていますが、大人しく、授業中は問題なく過ごせています。しかし休み時間に友達と遊びたくてもうまく遊べず、学校が苦痛な時があるようです。
A. 今回は「友達と遊びたい」という思いをご本人がお持ちとのことなので、その前提でお話させていただきます。発達障害の方の離職理由を調べたところ、「仕事以外の時間(=休憩時間、飲み会など)がうまく過ごせず苦痛だった」という方が多くいた、という話があります。やるべきことが明確な秩序のある時間・空間を好むタイプの発達障害の方には、自由(と見せかけて暗黙の了解が数多ある実際には不自由)な休憩は苦手な時間となりやすいでしょう。
同年代のお子さんとの交流については、まずは大人が橋渡しをしてあげることが理想ですね。実際にうまくいった例について共有をします。以前、同じ悩みを抱えていらっしゃったお母様が担任の先生にご相談したところ、「休憩時間には先生のお手伝いをする」という役割を、そのお子様と何人かの子どもたちに任せてくれたそうです。①休憩時間に取り組むことが明確になったこと、②大人を通して同世代と交流する機会がもてたこと、の2点が果たされたため、そのお子様は休憩時間を過ごすことが楽になり、少しずつ同世代との関わりも楽しめるようになったとのことでした。
以上は、とても理解があり機転のきく先生だったこそできたことで、誰にでもできることではないかもしれません。その場合、学校での休憩時間は本を読むなど自分のペースで行えることで時間を使い、同年代との関りは別の場所で学べる機会をもてるとよいでしょう。課題が複数ありひとつの場面で対応が難しい場合(今回で言えば「休憩時間をうまく過ごせない」ことと「同年代とうまく交流できないこと」)目標を絞り、ひとつひとつに適切なタイミングでアプローチしていくことが大切です。
Q2. 小学5年、自閉スペクトラム女子です。発言、発表など、自分の意見を述べる事が苦手です。これから中学、高校と進むにつれ、発言は必ず必要になるスキルだと思いますが、練習する事で成長するものでしょうか。TEENSではプログラムに発言、発表がありますか?
A. ご質問に端的にお応えすると、「YES」で、学習支援・お仕事体験ともに発言や発表を練習する機会は多いです。ただ、ここで注意しなければならないのは何を発信するスキルを学ぶべきか、ということです。
将来的に、特に仕事の場では自分の意見や感想を言うことよりも、事実を正確に伝える力の方が重要視されることが多いです。なのでご相談者様のお子様のようなタイプでしたら、まずは「事実を話す」練習をしていかれるとよいでしょう。
逆に、積極奇異型だったり衝動性が強く、自分の意見を主張することが得意・好きすぎるタイプのお子さんの場合は、相手がなんの情報を欲しているのかを考え、それを中心に伝えていくこと。どうしても言いたいことがある場合は「意見があるのですが、よろしいですか」など前置きをするとよい、といったルールや処世術についてお伝えをしていきましょう。
ただし、ご本人が自分の権利や健康、安全を守っていくための主張の仕方は学んでいった方がいいです。合理的配慮はご本人の発信からスタートするからです。まずは身近で親しい人に、小さな声でいいので、自分が困っていることやしたいことを話せるように働きかけてみてあげてください。
【参考】合理的配慮とは
Q3. 発達障害が疑われる場合、病院で検査してもらうことは、メリットですか、デメリットですか。病名がつくことで、努力することを諦めないでしょうか。
A. まず検査をどう考えるか。検査は、困っていることの理由を解明するために行います。お腹が痛ければ病院に行くでしょうし、痛くなければ行く必要はありません。そして同じ「お腹が痛い」でも、胃腸の調子が悪いのか、虫垂炎なのかで対処は変わってきます。
逆に言えば、原因が分からなければ、対処方法を誤ってしまいます。虫垂炎なのに胃薬を飲んでも意味がないですよね。 同様に、困り感があるのなら、検査を受ければ適切な対処方法が見える可能性があります。それが最大のメリットでしょう。
ご質問者様が懸念されているのは、「診断を受けることで「発達障害だから」ということを理由に努力しなくなるのでは」ということでしょうか? 誤解を恐れずに言えば、諦めてもいい努力もあります。例えば、重い算数障害があるのなら計算をすることを努力するよりも電卓の使い方をマスターする努力をした方がいいでしょう。発達障害の有無に限らず、私たちは自分の能力を鑑みながらエネルギーを注ぐ方向を変えます。検査は、自分の可能性を知るためのツールのひとつだとお考えください。
余談ですが、診断と告知は別です。特にお子様の場合は、発達障害の診断を受けてもしばらくは告知をうけないことがほとんどです。診断を受けたとしても、どのタイミングでご本人に伝えるかは医師や専門家と相談しつつ決められるとよいでしょう。
【参考】告知のタイミング
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます