TEENSの飯島です。前回に引き続き、TEENS初出版、発売間近の「発達障害の子のためのハローワーク」についてご紹介します!
こちらの本は大きく分けて2本だてになっていて、前半は前回(発達障害のある子どもにおすすめのお仕事はなに? 前編)でお伝えしたように子どもたちが自分自身の強みや弱みと向き合いつつ、将来を夢見てもらうために様々な職種を業界ごとにご紹介しています。
後半部分には、障害者枠での就労についてなど前半部分には書いていなかった発達障害のある方のリアルな就職事情をまとめました。子どもたちに夢と可能性を広げてほしい。保護者にはそれを応援してもらいつつ、しかるべき時には現実的な選択肢を一緒に考えられるように準備をしていてほしい。そんな思いから、お子さんが読むパートと保護者の方が読むパートを分けて、親子読めるような一冊にしました。
「発達障害の子が向いている職業ってなんですか?」という質問をたま受けますが、きまって「いろいろ考えられると思います」とお答えします。発達障害といっても人それぞれなので、「フランス人に向いている職業ってなんですか?」と聞かれているのとほとんど同じような感覚になります(フランスのことはよく知りませんが…)発達障害と一口に言えど十人十色で、誰にでも当てはまるような適職はありません。
じゃあ、発達障害のある方でうまくいっている例の共通点とはなんでしょうか? この本の中では25程度の業界についてご紹介をしていますが、各業界ごとに実際に働いている(た)当事者の方インタービューを『先輩の声』として掲載しています。そのほとんどが当社就労移行支援の卒業生の方々。皆さんの実体験をかなり赤裸々にお話いただいているので、かなりリアルですし結構感動します。実はこのページが一番のおすすめです。
参考 Kaien就労移行支援
以下一部抜粋。
Q.お仕事中、 気をつけていることはありますか?
店がいちばん混むのは夜の7時から8時で、その時間は本当に息をつくひまもありません。はじめのころは、失敗も多くてたいへんでした。でも、慣れていくうちに、少しずつできるようになってきたんです。
最初のころはメニューをいちいち見ないと値段がわからなかったのですが、いまは覚えています。ぼくは、その場に合わせてふるまいを変えるとか、状況を察することが苦手なのですが、オーナーがその都度教えてくれます。いまがお皿を下げるタイミングだとか、注文をとるタイミングだとか。一度いわれたことは、おなじことをくり返さないようにがんばっていたら、少しずつできるようになりました。
30人近くの先輩の声を読んでいてわかるのは、「向き不向きは職種によるのではなく職場の環境の影響が大きい」ということです。特性や傾向を考えるとおよそ向いていないという職業でも、周囲の理解や良好な人間関係のおかげでうまく働いている人の例が多く見られます。苦手があってもフォローしてくれたり、わからないことを何度でも確認できるような、そんな職場です。
また、やりがいについての質問に対しても、仕事の内容というよりは同僚やお客様からの感謝の言葉に喜びを見出している方が多かったです。なのでおすすめできる究極形態は「理解して信頼してくれる人がいる職場」だと言えるでしょう。
(じゃあそれをどうやって探すかというとなかなか難しいですが…)
凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹
本書は2017年7月24日発売予定です。気合を入れてすぎて作ったため原価が上がってしまいましたが、印税取り分を削って(!)価格を下げました。その分多くの子どもたちの手に渡ったらとてもうれしいです。
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合同出版(Amazonなどネットショップに在庫切れの際も、出版社自体の販売のため在庫がある場合があります)
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます