TEENSの飯島です。こんなときTEENSの第7弾です。前回に引き続き日中支援の利用の仕方についてご紹介します。こんなときTEENSとは?…TEENSでのセッション内容についてご紹介しているシリーズ。冊子もあります。
発達障害*のあるお子さんが不登校に至るリスクというのは、はなんとなくはイメージできるところだと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?
ある調査では「知的な遅れのない高機能自閉症児の約12%が不登校になっている」という結果がでており、不登校児が全体の1~2%だと言われている中で、非常に高い割合であることがわかります。
(ただしこの分野は調査によって数値にばらつきがあるためはっきりとしたことは言えませんが。多くは不登校児のおける発達障害があるお子さんの割合の高さを示す結果となっているようです)
理由は個々人によって異なりますが、多いのは「友人・先生との対人関係上の不和」、「学習面についていかれないことによる自尊心の低下」、「集団生活への抵抗感、不安感」「朝起きられないなど、生活リズムが乱れ」です。
いずれもご本人だけが努力しても克服できる話ではなく、発達障害の特性が影響している場合問題は更に複雑になります。そして基本的にその理由はご本人に自覚できるものではないので、ご本人に原因を聞くだけでは対応としては不十分であり、どこに困り感があるのかは事実とご本人・周囲の認識を整理しながら考えていく必要があります。
学校に行かない、という選択肢はもちろんありえまし、ご本人の現在と未来を考えた時に学校に通い続けることが明らかに不利益になるときは休んだ方がいいでしょう。具体的には肉体、精神的に害を及ぼしていたり、その恐れが大きいときです。発達障害のあるお子さんは生真面目な分必要以上に頑張ってしまうケースが多いです。
「学校を休む」ということは必ずしも悪いことではないこと、エスケープの手段のひとつであることをまずは大人側が認識し、必要に応じてお子さんに伝えてあげましょう。周囲が焦らず待ってあげることで、休みが長期化せずに済む例もあります。
不登校のリスクももちろんあり、出席日数が確保できず進路の選択肢が狭まる、一度休んでしまうと復帰が難しくなる、といったことが考えられます。
ただし実際の進路状況を見てみると、それほど悲観しなくてもよいことが分かります。以下、文部科学省「平成18年度 不登校に関する実態調査」 より引用です。
【参考】「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~
本調査によれば20歳になった時点でも8割以上の人が就労または就学しており、必ずしも不登校になること=”社会のレールから外れること”という印象はもたなくてよいことが分かります。
それでも2割近くのお子さんがそのまま社会参加ができていない、というリスクも見過ごすわけにはいきません。お子さんが登校を拒否したとき、周囲の大人がどのように対応すべきかを確認していきましょう。
① 責めないで話を聞く
休むことを責めたり怒ったりするのはご法度です。学校を休んだ子どもが家族に責め立てられれば、その子は孤立無援の状態になります。まずは本人が話したいことを聞き(逆に言えば本人が話したくないことにはむやみに触れず)、理解を示して安心させてあげてください。
② 役割を与える
気を遣いすぎてすべてご本人のペースで過ごさせるのではなく、「お風呂入れて」「食器を片付けて」といった小さなことからでいいので家庭内で役割を与えましょう。そしてそれに対して必ず感謝の気持ちを表してください。
不登校になった子は「自分はダメな人間なのでは?存在する意味がないのでは?」と考え自己肯定感が下がりやすくなります。まずは家庭という小さな社会の中で「貢献できている」という実感をもってもらいご本人の自尊心を養うとともに、家庭内での居場所を作ってあげてください。
③ 家庭以外の居場所を与える
ずっと家にいると、ご本人だけでなく家族も行き詰りやすくなります。かといって学校への復帰が難しい場合は、学校以外の居場所を見つけられるとよいでしょう。
フリースクールや適応指導教室などが候補になりますが、選ぶときには大人の「行かせたい」ではなくご本人の「行きたい」を優先するようにしましょう。
TEENSでは学校をお休みしている発達障害のあるお子さんのために「日中支援」というセッションを実施しています。通常放課後等デイサービスは名の通り放課後の時間帯に開かれていることが多いですが、こちらは10:30~14:00の間に開いているため日中の居場所を探しているお子様にご利用いただけます。
ポイント① 少人数制の安心空間
日中支援は放課後のセッションよりも参加人数が少ないため、落ち着いた空間の中で活動できるのが特徴となっています。コミュニケーションに苦手さがあるお子さんも、まずはスタッフとの1対1のやりとりから練習することができます。
ポイント② 個別に選べる利用時間
来所時間や帰宅時間も個別にあわせられるため、お昼を挟んで10:30~14:00まで最大3.5時間滞在することもできますし、長い時間の外出が難しい場合は利用時間を短くすることも可能です。
ポイント③ TEENSの利用日が学校の出席日数にカウントされます
在籍校の校長が認めれば「TEENSに来所した日」を出席扱いにしたり、通学定期を購入することができる制度があります。この場合、TEENSに通いながら出席日数を確保できるため、進学の際の内申を少しでも有利にすることができます。
【参考】平日日中の学習指導
TEENSではご利用前に必ず体験セッションを受けていただきます。お子さんにとって安心して通える場所だと思っていただけるかを、実際にお試しの上利用をご検討ください。
【参考】体験セッション
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます