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Kaien主催セミナーは不定期で開催中。~なるほど発達障害~ Kaien Meetup
今月4日、予定通りTEENS川崎がオープンしました。オープン前から多くのご利用希望を頂き、すでに一部コースを除いて満席にちかい状態となっています。まずはしっかりと通われるお子様の特徴をつかみ、長期的な視点(大人になった姿を想像して)から日々の支援へとつなげる「逆算した支援」をしっかりとひとり一人に提供していきたいと思います。
TEENSは現在、御茶ノ水、新宿、横浜、そして新設の川崎と4拠点となりました。5,6,7拠点と拡大していく方針ではありますが、今のところ具体的にオープンの場所や日取りは決まっていない状況です。一方で現在の利用層で高校3年生が多いTEENS新宿は新年度10~20人の新規利用の枠ができる見込みです。また上述の通り川崎では一部空き枠が残っています。
詳しくはご利用説明会でご案内しています。
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Kaienでは今年も質を向上させながら徐々に拠点数を増やしていきたいと思っています。20~50代が中心となっているフルタイムの各職種をはじめ、60歳以上の方が多い「講師」の職種、大学生・大学院生の「インターン」など多彩な人材を継続して募集しています。
特に”卒業”のある学生インターンについては新たにこの春から始められるインターンを募集しています。今回は同じ発達障害児向けの支援でも当社が行っていない未就学児の療育を行われているNPO法人ADDSの皆様と共同でインターン採用説明会を2月から3月に開催することになりました。ご関心のある方はぜひご参加ください。
またWantedlyでも現在採用情報を公開しています。ぜひご確認ください。
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このコーナーでは海外メディアが伝えた子どもの発達障害*に関する注目記事をセレクション。解説を交えてお伝えします。今回は『①脳トレーニングゲームのルモシティ 200万ドル(約2.4億円)の払い戻しに合意』、『②ヒラリー・クリントン(民主党) 自閉症の新プランを提案』の2本です。
Lumosity to settle deceptive ‘brain training’ health claims
脳のトレーニングゲーム”Lumosity(ルモシティ)”を運営する会社がこの度、米・連邦取引委員会(日本でいうと公正取引委員会や消費生活センターでしょうか)から、「広告しているような科学的な根拠がない」ため、利用者のうち希望する人たちに対して払い戻しをすることを指示されたとのことです。会社側はマーケティングの際の用語が不適切でありすでにそうした表現は使っていないとしていて、今後もサービスを継続することになっています。
LumosityはADHDに特化しているゲームではありません。より大きなマーケットである認知症抑制や子どもの学習力向上などを主な謳い文句にしていたオンラインサインです。ただし認知系ゲームの中でも最も有名なもので、実際LumosityがADHDの症状緩和に使えるのではという期待は何度となく目にし、耳にしました。今脳を鍛えるゲームは非常に大きなマーケット(デジタル 脳 健康 “digital brain health”」業界は1000億円を超える業界)になりつつあります。過去本ニュースレターでもご紹介しました。
TEENSニュースレター 2015年3月号 Xconomy 『自閉症やADHD向けのセラピービデオゲーム』
しかし今回の記事にもある通り、この手のゲームに関しては科学者からは実効性に疑問が投げかけられています。今後も脳をコントロールしたいというニーズは世界的に広がっていくと思われ、様々な解決策が提案される一方で、一部の業者による不安をあおりたてる行為や、マーケティング上の強引さなどが相まって、トラブルが引き続き起こることが予想されます。業界の最大手のLumosityが今回勧告を受けたことは行政・消費者・専門家からの一つの大きなメッセージになったと思います。
脳科学はAI(人工知能)やIT(情報処理)の発展もあり、一気に研究が進んでいて今後確かにADHDに良いトレーニング方法がゲームとして売り出されることもあるかもしれません。しかし当社が理解している限りではまだ画期的というものは一切見たことがなく、2016年の現在でも、幅広い意味で興味関心を高め、認知力を向上させるためには、古典的な地道なアプローチが必要だと思っています。
Hillary Clinton Proposing New Focus on Autism
大統領の指名権争いで、盤石の選挙戦を繰り広げているヒラリー・クリントンが、1月5日、自閉症に関する新プランを発表しました。主に4つの柱となっています。
何より驚くべきは4つの柱のうち2つもが大人に関するものだということです。かつ労働に関するイニシアティブが明記されています。2007年の選挙戦(オバマに敗れた大統領予備選)で、ヒラリー・クリントン自身が自閉症について語っていたのは「最も緊急を要するにもかかわらず、最も理解されていない、子どもとその家族に関する課題」ということであり、明らかに幼児・児童を意識した発言でした。それが10年もたたないうちに、(早期診断の重要性が第一の課題に来ていながらも)、全体として大きく大人の問題へと重心を移しつつあります。
日本でも施行から10年を過ぎた発達障害者支援法が、超党派で改正される見込みです。その中でも就労支援の強化が組み込まれることになりそうですが、ヒラリー・クリントンの考えはその先を行っているように思えます。もちろん選挙戦向けのリップサービス的な要素は多いでしょうが、10年前からもプランが前進しているということは過去の課題が着実にクリアされつつあることともいえます。今後大人向けの就労・生活支援がアメリカで非常に熱くなることが期待され、日本でもよい意味で刺激を受けていきたいと思います。
ヒラリー・クリントンの新プランについては以下のサイトで全文(英語)が見られます。
https://www.hillaryclinton.com/briefing/factsheets/2016/01/05/hillary-clintons-plan-to-support-children-youth-and-adults-living-with-autism-and-their-families/
代表取締役の鈴木です。ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にTEENSスタッフ飯島と鈴木がお答えします。
Q1-1. 地方でも活動の幅を広げて欲しいです。
Q1-2. パートナーシップ制度が確立されましたら、参加させてください。
鈴木. 年末に登壇したいくつかのイベントで、「Kaien/TEENSが地方に行く場合は、現地の団体・会社とパートナーシップを結んでいく」ということをお伝えしました。ご質問はその点についてのことだと理解しています。具体的には今後ご案内しますが、当社が将来的にも直営店を出さないであろう地方の小都市を中心に、Kaien/ガクプロ/TEENSのプログラムを提供する制度を作っていくことを考えています。無償ではなく有償にする予定ですが、頂いたお金の分以上に還元するようなものを提供したいと考えています。巷には「フランチャイズ」型の事業所がいくつもありますが、そうではなく、ともにプログラムを作り上げていくような共存共栄型を目指すつもりです。数か月以内にパイロット事業をして頂ける事業所を探す予定です。ぜひその際にお申込みいただければ幸いです。
Q2. 中2男子、就学後人間関係が上手く行かず小学5年で検査結果からADDと言われ、現在はアスペルガーとの診断結果。公立 普通校で週1の通級中。成績は中の下、サポートが期待出来ない公立高校への進学が不安。私立の選択基準が分からない。公立高校でやっていけるか。
飯島. 公立高校でも学力レベルは選べますので、後は(1)集団の中で過ごすことができるか、(2)学校生活の中で特別な配慮を必要としないか、(3)たとえ失敗があっても切り替えることができるかの3点がポイントになるかと思います。例え赤点ばかりでもあまり気にせずうまく周りに助けてもらいながら学校生活を送れるタイプの発達障害のお子様もいます。逆に、感覚過敏だったり環境や状況の変化に弱いタイプですと、どんなに学力が高くても支援と配慮が得られる環境の方が望ましいでしょう。
とはいえ、必ずしも私立の方が環境的に優れているとも限らず、神奈川県立横浜修悠館高等学校のように、公立でも発達障害児教育に力を入れている学校もあります。また、下記リンクの記事にもあるように、公立高校で特別支援を実施する動きも始まっています。
なお、TEENSでは今年6月に「第2回 発達障害に理解のある学校 合同説明会」を行う予定です。詳細は未定ですが、今後ニュースレターなどでお知らせして参ります。
Q3. 普通学級に在籍していますが、中々、学校の同級生と親しくなれないのですが、カリキュラムはすべて個別でしょうか?子供同士で喋ったり遊んだりという事はあるのでしょうか?
飯島.同世代同士の交流というのは、お互いに絶妙な配慮が求められます。対人コミュニケーションが苦手なお子様については、最初のステップとしてまずは同年代ではなく理解のある大人との交流機会をもつことをおすすめします。
なお、TEENSでは大きく分けて2つのプログラムがあり、平日の学習支援は個別での、主に休日に行っているお仕事体験は集団でのセッションとなっています。子ども同士のかかわりが苦手なお子様については、まずは学習支援をご利用いただき、休憩時間にスタッフが橋渡しをしながら子ども同士での交流機会をもつことをおすすめしています。似たタイプのお子様が多いためか、初めは人と話したがらなかったお子様が、1年くらいの時間をかけて気の合うお友達を見つけ、休日に一緒に遊びに行くような例もあります。
Q4-1. 本人は参加できないのですが、親だけの出席でもよろしいでしょうか? もし、来月も開催予定が決定していましたら、来月、本人ともども出席した方がよろしいですか?
Q4-2. 横浜での説明会はありませんでしょうか。
鈴木. 親御様だけでの出席でまったく問題ございません。ご本人がご利用説明会に参加されるのはごく一部です。なお新宿は高3生が多く卒業するため、新たに10から20の枠ができそうなためご利用説明会を継続して開催していますが、新宿以外の拠点ではご利用説明会自体、今後の開催予定がしばらく少なめになる見込みです。
Q5. 発達障害の子を持つ親にとって、適切な支援を受けられる機関が少しずつ増えていくことを大変嬉しく思います。ようやく予約がとれ医療機関に受診しても薬の処方だけで、相談できる機関ではないということを実感しています。
鈴木. 期待頂けるのは大変ありがたいですし、責任を感じます。一方で、正直なところなかなか適切な支援を一人一人にしっかりと届けるのは難しいのが現状です。全員を満足させることを目標にしつつ、日々失敗の中で学びながらスタッフも私も頑張っています。また医療機関でしかできない医療行為もあり、当社としても医療機関との連携はとても重視しています。通うだけで意味があるのかなと思われることもあると思いますが、病院・クリニックは頻度が低くても、具体的には1年や2年に一度でも継続して通われることをお勧めしています。何かあった時にやはり医療の力は頼りになると思います。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます